
気温が上がってきたので久しぶりに外へ散歩に出た。川に遊ぶ鴨を探したが、一羽も姿をみせない。川原の土手にオオイヌフグリが可憐な花を開いていた。早春の花と言えば、山ではマンサク、野原ではイヌフグリが定番である。去年書いたブログを見ると、一年前のきのう、梅が一輪だけ開いたと書いてあった。昨年と比べると、やはり今年は春が早く来ている。枯れ葦ばかりが目立っている陽だまりに、早咲きのイヌフグリを見ると春を実感する。
犬ふぐり咲くよと見ればかたまれる 清崎 敏郎
散歩の帰り、本屋に立ち寄ると、文庫の平積みコーナーに何故か百人一首の関連本が6種類ほど置かれている。この季節、とくにこの本が売れる季節でもなし、話題になった本があるという話も聞かないので、なぜこんな平積みコーナーがあるのか不思議だ。そのなかの、阿刀田高『恋する小倉百人一首』(角川文庫600円)を求める。詩吟の課題吟に、しばしば百人一首の歌が選ばれるので、カルタ取りをしなくなった今も、意外に百人一首との縁が切れない。私の本棚には、『百人一首一夕話』(岩波文庫)、白洲正子『私の百人一首』、目崎徳衛『百人一首の作者たち』などがある。
そういえば、3月2日の朝のモーニングショー継ぐ女神で、「九谷毛筆細字」の田村星都さんが紹介されたいた。米粒より小さい字で、茶碗に百人一首の全首を書きこんで模様にしていく神業である。こんな茶碗があれば、日本の伝統文化がより身近になるような気がする。