福寿草
2016年03月15日 | 花

福寿草は消え残る雪のそばの陽だまりでいち早く咲く。寒期に咲く花として、また縁起のいい名から、床の間に飾る花として珍重されてきた。もう山道に咲いているはずだが、近所の散歩でみられないか注意して見て歩いた。すると、黄金色の花が庭先のプランターで咲いていた。空き地には、雀の群れが飛び遊ぶ姿もみられた。昨年この花を見たのは、尾花沢のお寺のまだ雪の残る庭であった。
福寿草平均寿命延びにけり 日野 草城
こんな句が詠まれるのも、閉ざされた雪原のなかの陽だまりの土くれのなかに、開くこの花を命とみるからであろう。厳しい冬を越してまた、ひとつ年齢を加えたことをしずかにかみしめているように思われる。花弁をいっぱいに広げて陽を受け入れる姿に人は命の本質を感じる。