紅梅の花が散りはじめた。これから木は葉を開き、実をつける。鉢植えの小さな木だが、たくさん実をつける。妻は木を弱らせないために、実は早々にとってしまう。6月に梅の実を買って梅干しを作るが、残っていた梅干の肉だけをとって、鰹節を削り入れ梅かつおを作った。湯のみ茶碗にスプーン一杯の梅かつおに粉末した昆布をやはりスプーン一杯いれて、お湯を加えると梅茶ができる。毎朝一杯の梅茶を飲むと、そのおかげで健康が保たれているような気がする。
ものの本を見ると、平安時代の中頃、村上天皇が梅干しと昆布入りの茶で病気を治したいう記事がある。梅干しは、古くから薬として用いられたらしい。鎌倉時代には、禅宗の坊さんのおやつとして普及し、武士は出陣、凱旋のときは必ず食べたという。梅干しは保存に適した食べ物で、改易された赤穂藩の江戸屋敷の梅干しは、昭和の時代まで保存さていたという話も残っている。
山登りには、梅干し入りのお握りにすると、暑い夏でも腐敗せず、殺菌作用もあるため食中毒の予防にもなる。もともとは、中国から渡来したものらしいが、現在では中国ではもう姿を消してしまったらしい。日本食の長い歴史のなかを生き抜いてきた貴重な食品である。