常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

カタクリ

2021年04月01日 | 登山
春は花が次々に咲いて、ブログを書くのも忙しい。桜はまだかと待っていたが、今日はいよいよ花が開いた。里山ではカタクリが満開だ。花にも写真映えというものがあるらしい。カタクリの花は、写真で見る方が実物よりも風情がある。都会では自分だけが知っているカタクリの咲く秘密の山というものがあるらしい。たくさんの人が訪れるようになると、荒されたり、中には盗掘されてすっかり花がなくなってしまうことも珍しくないようだ。枯れ葉の上にいち早く花をつけ、太陽を独り占めにして種子をつけると、そのまま枯れて地中の宿根(球根)で生き続ける。この根から取るのが片栗粉だ。

春先だけ姿を現し、花を咲かせて、地中に眠る植物をスプリング・エフェメラル(春の妖精)という。カタクリのほか、ニリンソウ、キクザキイチゲ、フクジュソウ、セツブンソウなどがある。カタクリの種子には、黄色いエライオゾームという物質がついている。この物質をアリが好むため、地中に落ちた種子はたちまち蟻の巣に運ばれる。アリはこの先端だけを巣の中に運び、種のところは巣の外で捨ててしまう。こうして、カタクリはその分布範囲を広げていく。しかし、種から発芽しても、花を咲かせるまで8、9年という長い年月がかかる。アリとのこんな共存関係があって、カタクリが一面に咲く里山の斜面ができる。

開花したカタクリの花の蜜を求めて、羽化したばかりのギフチョウがやってくる。この里山にもギフチョウが見られるのかは知らない。ギフチョウは「春の女神」と呼ばれる。鳥海山から南に分布する、日本固有のアゲハチョウである。最初に採取された標本が岐阜であったので、この名がついた。春の妖精のまわりを、春の女神が飛ぶ姿を見てみたいものだ。

はつ春の蝶の舞ひゆく森かげに
 さやかに咲けるかたくりの花 高橋達明


コメント (2)
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