青空に鯉のぼりがはためいている。妻をつれて、ワラビを探しに春の野に出かけた。膝関節の手術前は、山野を歩くなど想像もできなかったが、まだ小さなワラビを見つけて子どものように喜んだ。足が痛くなるからもう止めようと言っても、坂道でワラビを見つけて、なかなか止めようとしない。蕗の薹の花が咲いたもの、コゴミ、土筆など次々に採る。まだ覚束ない足どりではあるが、想像以上の回復である。ナズナを見つけて、「これも食べられる」という。昔住んでいた家の近くにたくさんあった。別名、ペンペン草、三味線草。
妹が垣根三味線草の花さきぬ 蕪村
老境の蕪村に、青楼に棲む年若い愛妓がいた。友人から意見されて、もうこの妓に会うのは止す、と手紙に書いた。その妓のいる楼の垣根で見つけたナズナの花を詠んだ句をその手紙に記した。嫁菜も食べられる野草だが、まだ、これと特定できない。代わりに、ナンマイ葉を見つけて、切り和えにできるほど分量を収穫して来た。