久しぶりに義母の入所している「見晴らしの丘」に行く。ここからは、その名の通り、山形市街と蔵王山が一望である。わが家からは、外輪山の瀧山に遮られて、蔵王山は見ることができないが、ここからは雪を戴く蔵王が全部見える。この景色がありながら、義母は感動をもってみることができない。「こんな遠くまで来なくてもいいのに」という言葉を何度言ったか、数え切れないぐらいである。「いい天気だね」と言っても、答えは「こんな遠くまで来なくともいいのに」という同じ言葉だ。
刈田岳から熊野岳、それに接するように地蔵岳が見える。ざんげ坂から地蔵へいく辺りには、小さな点のようなものが見る。カメラで拡大してみると、それらの点は樹氷であることがわかった。今日の山形の気温は9.5℃、明日も同じような気温が続く。樹氷はこの陽気で落ちてしまう。また今年も、真近に樹氷を見ずに過ぎそうだ。義母と話しながら、茂吉が眺めた蔵王を見ていた。