今日は24節気の芒種。小満から芒種へ、草木が茂る季節の呼び方であるが、この言葉の響きが美しくて好きだ。小満は、麦に実が少しつくという意味だが、その麦を刈り取り、稲を植える季節が芒種だ。「芒」という漢字を辞書で見ると、読みは「のぎ」で、穀類の実を殻の先の針状の毛、を意味するとある。麦が終わり稲の苗を植える季節という意味である。昨日までの寒気が去りつつあり、まさに芒種の季節である。この季節は、山河の風景も、ひときわ美しくなる。北宋の蘇軾の詩に「湖上に飲す 初めは晴れ、後に雨降る」がある。
水光瀲灔として晴れて方に好し
山色空濛として雨も亦た奇なり
西湖を把って西子に比せんと欲すれば
淡生濃抹総べて相宜し
蘇軾は、晴れのもとや雨の中の西湖の風情を、越の美女西施の、化粧の様子になぞらえて絶賛している。この詩を踏まえて芭蕉は、象潟で
象潟や雨に西施がねぶのの花 芭蕉
と詠んでいる。芒種の今日、庭の片隅にホタルブクロが咲いていた。