私のブログには、一枚の写真を添えている。
写真を見ながら記事の内容を決めることも
あるし、書く内容が決まっていて、それに
ふさわしい写真を撮ることもある。
今日のように雨が降っていれば、過去のファ
イルを開いて載せる写真を探すこともある。
今日、載せるために選んだ写真は、白い木槿
の八重咲である。この写真を撮ったのは、ほ
んの十日前のことでしかない。そして奇妙な
ことに気づいた。ファイルのなかに収まって
いる写真は、すでに過去のものとして記憶の
なかにしまいこまれていることだ。白い木槿
でしかも八重咲、という花は撮影の時点では
私にとって初めて見る花であった。しかし、
写真の撮影が終わり、ファイルに納められる
と記憶のなかでは、既知の花となっている。
そしてこの既知の花は雄弁に、誇らしげに語
りかけてくる。「どうお、きれいでしょう。
こんなにも暑い夏、それに負けずに咲いて見
せたわ。私こそこの季節の主人公よ。」
見上ぐれば雨一粒や花木槿 石田 あき子