紅葉の名所のひとつ「泉涌寺」と「東福寺」エリア。秋は、多くの観光客で賑わいます。そのエリアにあって、常に静寂漂う場所があります。それは、「泉涌寺」の境内の奥にある「月輪陵(つきわりょう」です。伽藍をもつ広い境内の南奥、美しく掃き清められたなだらかな坂道を上がると、山に抱かれるように、りっぱな御門が見えてきます。



「あ、後水尾天皇の皇后の和子(まさこ)さまも、こちらにいらっしゃるんだー」と、ミモロが知っている名前を見つけました。中宮の和子さまは、徳川秀忠とお江の娘で、徳川家として初めて皇族になった方。このご結婚で、和子さまと共に、宮中にもたらされた多額の持参金で、夫の後水尾天皇は、思う存分、京都の文化発展に力を発揮できたと思われます。「もし結婚してなかったら、修学院離宮も出来なかったかも…」。また、徳川家の援助は、京都の多くのお寺の修復や復興を果たします。
ここ「月輪陵」には、四条天皇をはじめ、後水尾天皇から仁孝天皇まで25陵が祀られています。
「後水尾天皇の奥さんたちや、子供たちもここにいっしょにいらっしゃるんだねー」と、お名前を見て…。
この御陵にいらっしゃる109代明正天皇(女帝、母親は和子さま)、110代後光明天皇、111代後西天皇、112代霊元天皇は、すべて108代後水尾天皇のお子様、ただしお母様は、全部違います。
「さすが後水尾天皇、長生きなさったし、奥様もたくさんいらしたみたい…」と、改めて感心しきり。
御陵の前は、広々とした白砂のスペースがあり、そばには、大きな水盤が。


「ここにいると心が落ち着く…こういう場所って、パワースポットなんじゃない?」と深呼吸。

しばし時を過ごした後、ミモロは、泉涌寺から出るために、北側の出入り口へ。そこで拝観券の係りの方に、「今ね、月輪陵に行ったのー。すごく素晴らしい場所でした…」とお話を。すると「それなら、孝明天皇の御陵にも行ったら…」と、「えー孝明天皇?ミモロの住む岡崎にある平安神宮のご祭神の御陵がここにあるのー?」と、目を見開きます。孝明天皇は、つい最近、時代祭で、参拝したご祭神です。
そこで、今度は、境内を一度出て、敷地に沿うように続く道を上ります。

「わーここも広い…」


さらに、そばの四条天皇のお父様の後堀川天皇の御陵にも足を伸ばします。


再び、泉涌寺の入口の所へ戻ると、「あのー質問があるんですけど…。あの広い御陵のお掃除だれがやってるんですか?」と尋ねるミモロ。「それは、近くに、宮内庁の管理事務所があるんですよーそこで…」とのお答え。

泉涌寺のそばに、ありました宮内庁の事務所が。この日は、休日なので、ひっそりとしています。
「あれだけ広い場所を、いつもあんなにきれいにしてるって、すごいねぇー。さすが宮内庁…」と、ミモロ。
確かに、宮内庁が管理している場所は、京都御所、桂離宮、修学院離宮をはじめ、それぞれ市内に点在する御陵も、どこも美しく整えられています。
『月輪陵墓監区事務所』は、全国を陵墓の所在地により、5つに区分したひとつを管理するところで、京都、滋賀、石川、富山、鳥取、島根などのエリアを担当しています。全国で、宮内庁が管轄する陵墓は、天皇陵ほか、いろいろトータルで896もあるとか。分布地域は、458か所にも及ぶそう。京都には、他に桃山陵墓監区事務所もあります。こちらは、もっと南のエリアで、九州地方なども担当。
「すごくたくさんあるんだねー」と、改めてその数の多さに驚きます。
泉涌寺に紅葉狩りに行ったら、ぜひ、足を伸ばして、「月輪陵」へ。きっと静かに紅葉が眺められるはず…。

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