京都の桜は、もう少し満開まで時間がかかりそうなので、それまでちょっと別の美しさをご紹介します。
京都で、一度は行ってみたいところと言えば、きっと「桂離宮をあげる人も多いのでは?
日本の究極の美とも評される、建造物の代表的存在です。ミモロは、ある日、お友達といっしょに「桂離宮」を見学することに。見学順路に従って、ご一緒に、その美しさに触れてまいりましょう。
「桂離宮」の美は、実は、すでに外側から始まっています。それは、独特の「桂垣」と言われる独特の生垣。
桂川の土手沿いの離宮東側に連なる笹垣です。敷地内に自生する竹藪の竹を植わったまま曲げて、垣を組んで行くもの。ミモロが訪れた時期は、その笹垣の手入れの真っ最中で、珍しい土台の部分を見ることができました。
横に渡した竹に、乾燥した竹材を組み、その上に乾いた竹の細い枝を並べ、それから自生する竹をグインと曲げて、緑の瑞々しい生垣を作ります。(この状態では、想像するのがむずかしいですね)
ぜひ、しばらくしたら見に行ってください。ここなら許可なしで見ることができます。
さて、門も実に簡素で、ただ竹が並んでいる感じ。
しかし、すべて太さが見事に揃い、節の部分も処理され、隙間なく並べられています。
さらにその門につづくのは、穂垣という細い竹を横向きに積み重ね、縦に太い竹で固定したもの。
縦の竹の先端は、鋭く削られ、防犯機能も備えた優れもの。
「どれもすごくシンプルだけど、美しい!第一、素材がどれも見事!そして作り上げる技術も驚くほどの素晴らしさ。さすが宮内庁の管轄のものは、他とは違うねぇー」と、離宮に入る前から大感激のミモロです。
さて、見学コースの初めに訪れるのが、「御幸門」です。
ミモロも見学者と共に、そこへ向かいます。
「うーもう遅れちゃったー」
キョロキョロといろいろ見ていたミモロは、初めから遅れ気味。「でも、この階段も素敵ー!」。小さな堀に掛けられた両脇が苔で縁取られた土橋を見ても、ただ感心。
門に至る「御幸道(みゆきみち)」の地面を見ると、
小石が隙間なく敷き詰められています。「わースゴイー。自然の石をこんなにいっぱい敷くなんて、美しい!」と。
これは、輿がなめらかに進み、歩行にも配慮したものとか。「今ならアスファルトだよねー。でも、ここにも美しさが漂っている」と、もう進むごとに、いちいち大感激するミモロ。これから先にある建物を見たら、どうなることか…。
到着した「御幸門」。
茅葺切妻屋根で、両脇の柱や屋根の下の垂木には、皮つきの丸太が使われ、あえて野趣を感じさせる趣向です。
さて、ここで「桂離宮」の歴史などを少し…
「桂離宮」は、後陽成天皇(後水尾天皇のお父様)の弟にあたる 智仁親王が桂川の河辺に造営した八条宮家の別荘です。
桂川から水を引き入れ、小川や池、さまざまな大きさの築山を配置し人工的に雄大な景観を作り上げた回遊式の庭園様式になっています。その敷地面積は、約1万7500坪。広大な敷地には、古書院をはじめ、新御殿などの主要な建物のほかに、茶室や庭を散策するときのお休み処などの建物が点在し、自然の景観にいっそうの趣をもたらしています。
御所のような華やかな雅さを廃し、簡素な趣ながら、意匠を凝らした建物が、ここに寛ぎを求めた親王の思いを物語っているようです。
造営は、二代にわたり、時をかけてなされました。
「桂離宮」の美を著す言葉として「わび」「さび」という茶道の言葉が用いられます。
華美をすべて切り捨てた建造物は、その簡素さに、かえって贅沢さを感じさせます。
見学者一行は、詳しい案内を聞きながら、さらに奥へと進みます。
「細長い東屋みたい…」とミモロが言うのは、「外腰掛」という建物で、茶室の待合所です。
茅葺の屋根に、皮つきの自然木のカーブなどを趣として、匠に使った建物。内側には、ベンチのような腰掛が。
建物のそばには、「二十桝形手水鉢」と低めな石灯籠が。
そして、建物の前には、長い踏み石が、訪れる人を茶室「松琴亭」へと導いてゆきます。
「わーこの石橋も長ーい」。一枚岩の石橋が、流れ手水に。
「ここは、一見簡素なんだけど、使っている素材がすべて極上のもので、スケールが違う…。わー早く渡らなくちゃー。またみんなから遅れちゃったー」と、どうしても遅れがちのミモロです。
さて、明日は、「桂離宮」のシンボル的存在の市松模様の襖のある「松琴亭」にまいりましょう。
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