「群来 古墳」
関西では「古墳」という言葉が、多くの人の心を沸き立たせるといいます。新しい古墳が見つかると住民の皆が「興奮」(こふん)するのでしょうね。
それでは、北海道ではどの言葉が心を沸き立たせてくれる言葉なのでしょうか。
カムイラビットには「群来(くき)る」という言葉が、心を沸き立たせてくれます。多分北海道人なら同じなのではないかと思っています。
2月末になると、ニュースで石狩湾に、江差沖に海面が乳白色になった風景が映し出され、鰊の群来の季節到来の話がなされます。
小樽に行った2月20日は小樽海岸の海が「群来」ていたと聞きました。せっかく小樽に行っていたのに、帰り際に聞いたものなので残念ながらその様子をカメラに納めれませんでした。
沿岸に鰊が回遊しなくなって久しいのですが、乱獲しなくなって鰊の生息が元に戻って来た模様です。白いのはオスの鰊の白子の色といいます。海藻にはニシンの卵も産みつけられているのでしょう。
長い事鰊が岸に来なくなって海の色が乳白色になることがなかったのですが、この数年は海が乳白色になって、鰊が獲れる季節を知らしてくれています。
なぜか「群来」という言葉が心を沸き立たせているのかよくわかりませんが、私には一番響きの良い言葉で、今年も無事ニシンが浜にやって来たと心が豊かとなるのです。
このニュースが流れた後、ニシンの値段が急に下がります。
鰊最盛期には鰊番屋が北海道の日本海沿岸にいくつも造られ、働き手が日本海沿岸の南からヤンシュウとしてやってきて浜は活気があったのですが、ある年(昭和30年)から鰊がぱたりと獲れなくなって、北海道のニシン漁に終わりが来ました。
留萌の鰊場 最盛期の写真。
この現象が近年蘇って群来る現象が見られるようになったのです。
その為でしょうね、群来という言葉が希望をもたらしてくれるのです。