goo blog サービス終了のお知らせ 

ストローバレイ家の介護奮闘記

90→→92歳の母を支える4姉妹の泣き笑い奮闘記・・とその後

映画「トランボ=ハリウッドに最も嫌われた男」

2016-08-25 23:59:27 | 日常
           

映画好きの友人が「この夏一番のお勧め」と太鼓判を押す映画「トランボ=ハリウッドに最も嫌われた男」を、TOHOシネマズシャンテで見てきました。

脚本家ダルトン・トランボ氏は、あの有名な映画「ローマの休日」の脚本家でもありますが、第二次大戦後の米ソ冷戦時代、アメリカで猛威をふるった赤狩りに巻き込まれ、公聴会に召喚され、そこで「共産主義者か、それともかつてそうだったか」との尋問に証言を拒否したため、議会侮辱罪で投獄されてしまいます。

やがて出所し、家族の元に戻りますが、ブラックリストに載った彼に脚本を書かせる映画会社はなく、仕事を失い窮地に追い込まれます。

しかし、友人にこっそり託した「ローマの休日」がアカデミー賞原案賞を受賞。さらに暮らしのために書きまくった偽名の脚本のうち「黒い牡牛」までもアカデミー賞を受賞。

当時はジョン・ウェインやドナルド・レーガンなど、愛国主義を声高に語りトランボ等を排斥しようとするマッチョな映画人が映画界を席巻していましたが、彼の才能と自由を愛する不屈な精神は次第に心ある映画人を動かし、彼の作品は観客に認められ、トランボ脚本、カーク・ダグラス主演の「スパルタカス」は大ヒット。こうして彼の名誉は回復される、、、というような、実話に基づいたお話です。

赤狩りという理不尽がまかり通った社会の中では、節を曲げずに社会から排斥されるのも、社会に受け入れられるために節を曲げて屈辱を抱えて生きるのも、どちらも大きな苦しみ、深い傷を負います。トランボが最後のスピーチで言った「英雄も敗者もいなかった。いたのは被害者だけだ」の実感の篭った言葉が、胸に堪えました。

一方、こうした苦しみの中にあって、彼を支えたのは家族。ダイアン・レイン演じる美しく聡明な妻クレオの深い愛情、直向きで可愛い長女ニコラ、長男クリス、次女ミッツィの父親を信頼する姿が、見ている私たちの心も柔らかくして、トランボの救い、勇気の元となっていることが伝わってきました。

最近、「愛国」を錦の御旗に人々を扇動する、排他的で不穏な空気が、世界のあちこちで、そして日本でも、蘇っているような気もしますが、こうした空気を打開する「希望」のヒントを感じさせる、爽やかな後味の、本当に良い映画でした。(三女)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする