4月20日、汐留美術館で開催中の「ギュスターヴ・モロー展― サロメと宿命の女たち ―」を、夫と観に行ってきました。
モローの作品はこれまで何度も見る機会があり、その魅力に惹かれて2014年にはパリのギュスターヴ・モロー美術館にも訪れています。
今回は『象徴主義の巨匠ギュスターヴ・モロー(1826-1898)が描いた女性像に焦点をあて、・・・パリのギュスターヴ・モロー美術館が所蔵する、洗礼者ヨハネの首の幻影を見るサロメを描いた名作《出現》や、貞節の象徴とされた幻獣を描いた《一角獣》を含む油彩・水彩・素描など約70点によって構成』(HPより)されているということで、私たちにとっては懐かしさいっぱいの展覧会でした。
というわけで、上はモローの代表的な作品《出現》(1876年頃)。サロメの美しい姿態と冷酷ともいえる表情、光の中にあるヨハネの首、画面全体が醸し出す光と闇、美しさと怖ろしさでゾクッとする迫力満点の作品です。
左から《パルクと死の天使》(1890年頃)、《エヴァ》(1880-1885年頃)、《一角獣》(1885年頃)。
《パルクと死の天使》は、4年前パリの美術館で見て、黒を基調にした色の取り合わせの美しさ、筆致の力強さがとても印象的でしたが、中央に描かれているのは人間に死をもたらす「死の天使」、その前面に描かれているのは死の天使を導き職務を遂行している「パルク」で、作品は恋人アデライド=アレクサンドリーヌ・デュルーの死への悲しみを表している、ということを今回初めて知りました。
「宿命の女たち」の章に配された《エヴァ》は勿論、蛇に唆されてリンゴを食べてしまった「イヴ」のこと、今回は、誘惑の標的になって数奇な運命を辿る女たちの元祖の位置づけのようです。それにしてもスタイルの良いこと!
《一角獣》は、『貞節の象徴とされ、純潔の乙女にだけは従順になるという幻の動物。憧れの具現化であるとともに、その冒しがたい清らかさゆえに男性を惑わせ狂わせるもの』として描かれているとのことです。
主として神話や聖書にテーマを求めたモローの作品は、どれも人の持つ怖ろしい一面や弱さ愚かしさを内包していて、ただ美しいとか可愛いという世界とはかけ離れた凄味があり、見るのに結構気合が必要ですが、その分魅力も桁違いだと、今回改めて認識させられました。
展示を見終わった後は、初夏の陽気に誘われて、新橋駅~浜松町駅近くの汐留イタリア街まで散歩してみました。へえ~、こんなにお洒落な街ができているんだ。新橋界隈といえば飲み屋街という認識だったので、ビックリ!(三女)