今やECMの看板プレーヤーだとも思うMarcin、彼の変遷を多くの人がみてきたと思う。彼個人とともにトリオとしての演奏も同じである。
1曲目、Marcinのピアノ本質を表すような小品で始まる。
2曲目、バッハのゴールドベルグ変奏曲を、これもMarcinの実力というか、クラシックの題材を取り上げた演奏は多いのだが、インプロがこのように入ってくる演奏はなかなかないと思う。
3曲目、カーラの曲でのSlawomirのベース・ソロが全体を触発するような演奏。
1,4,7曲目が”In Motion ”と言うインプロにだろうが、ここら辺にトリオのインプロヴィゼーションの進化を感じる。
このメンバー、「Simple Acoustic Trio」からの進化が今がこれなのだろう。
それで、この変化インプロヴィゼーションの次元の進化と思った。5曲目の美しいMarcinの”Glimmer Of Hope”と心和む” Riders On The Storm”を聞いていると、「インプロが凄くなった」では収まらないような気がしてきた。インプロの次元に変わる言葉って何かと考えていたら、”インスピレーションの次元”という言葉が思いついた。
今回のアルバム、グループ・コンビネーションの素晴らしい安定もあるのだけれど、Marcinとそれに付き合うメンバーの”インスピレーションの次元”というものがあるように思った。
次元という言葉を使うにあたって意味を調べたのだけれど、次のような解説がこのアルバムに当たると思う。
『量の違いではなく質の違いがあることを指して「まったく別の要素(次元)を取り入れないと理解できない」ということを意味することが多い。』
en attendant / Marcin Wasilewski
Marcin Wasilewski (piano)
Slawomir Kurkiewicz (double bass)
Michal Miskiewicz (drums)
2019年8月フランス-ペルヌ・レ・フォンテーヌのStudio La Buissonne録音
1. In Motion Part I
(Wasliewski/Kurkiewicz/Miskiewicz)
2. Variation No.25 from: Goldberg Variations
(J.S.Bach, Goldberg Variations)
3. Vashkar
(Carla Bley)
4. In Motion Part II
(Wasilewski/Kurkiewicz/Miskiewicz)
5. Glimmer Of Hope
(Marcin Wasilewski)
6. Riders On The Storm
(Morrison/Densmore/Krieger/Manzarek)
7. In Motion Part III
(Wasilewski/Kurkiewicz/Miskiewicz)