前作の「two roses」はアイシャイのそれまでの活動を彼の志向するオケへの壮絶な展開を見せたと思う。ヴァリエーションの素晴らしい開示であり彼の音楽的な深さを示した。ということで次展開ということで本アルバムがあるのだろうが、今回はオーソドックスに新メンバーのトリオでの活動展開となっている。
いつもすごいということは彼のピアニストの存在になる。チック・コリアは別として、Shai Maestro,Nitai,Hershovits,そして今回3作身なのだろうかElchin Shirinov。オケ作品までも制作するアヴィシャイの音感の素晴らしさがピアニストを選択するのだろう。イスラエルのミュージシャンのレベルが高いのはわかるけれど、今回のElchin Shirinovに至っても、前任2名にそれぞれ個性がありトリオの色ができているのが素晴らしい。Elchin Shirinovにはあっていないけれど前任二人がブルーノートでピアノを弾く姿勢は感動的だった。
新しい女性ドラマーも21歳だそうで、女性のドラマーも繊細なタイミングをとってこれもトリオの変化になっていていい。私はマリリン・マズールを聴いた時の新鮮さを思い出した。
ということで新しいアヴィシャイのトリオというとになるのだろう。曲躯体はアヴィシャイ節が続いている感があるけれど、ピアノ、ドラムスの新しい組み合わせで結構新鮮に聞くことが出来る。
すべての曲がアヴィシャイの策になるので、アヴィシャイ調になるけれどそこはお飲みだろう。アヴィシャイの安定した音楽の受け入れ方(オケ作でわかる)が反映しているので、5曲目に”Below"でもクラシカルな構成がわかる。
アルバムの曲としてはこれまでのアヴィシャイのトリオ・アルバムの感じを引き続いたもので、レベルとしては遜色ない。ということは
実はすごい。ピアノ・トリオとしてピアノとドラムスの共鳴というのおうまいし、その分アヴィシャイがちょっと控えめにも感じる。それもいいか。
9曲目 Videogame””のいかにもアヴィシャイあという曲が心地よい。こうやってアヴィシャイの曲を聴くことが出来て、なんだか私たちの音楽の活動は途切れてないいうような感じを覚えて。とてもホットする。
そうすると10曲目の”Kinderblock ”もなんだか安定するフレーズで心地良い。
派手さはないけれど、とても高いレベルのピアノ・トリオ・アルバムだと思う。
Shifting Sands / AVIHAI COHEN
Avishai Cohen (b)
Elchin Shirinov (p)
Roni Kaspi (ds)
2021年8月録音
1 Intertwined
2 The Window
3 Dvash
4 Joy
5 Below
6 Shifting Sands
7 Cha Cha Rom
8Hitragut
09 Videogame
10 Kinderblock