monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

蚊遣火(かやりび)/蚊火

2010年06月23日 | 日本古典文学-和歌-夏

蚊遣火(かやりび)はふもとの庵(いほ)にくもれども夏の夜(よ)すずし軒の山風(安嘉門院四条五百首)

あたら夜(よ)の軒もる月もくもるまで伏屋(ふせや)にくゆる夏の蚊やり火(安嘉門院四条五百首)

来る人もなき山里は蚊遣火のくゆるけぶりぞ友となりける(散木奇歌集)

夜(よ)もすがらしたもえわたる蚊遣火に恋する人をよそへてぞ見る(能宣集)

蚊遣火はものおもふ人のこころかも夏のよすがら下(した)に燃(も)ゆらむ(拾遺和歌集)

けぶり立つ賤(しづ)が柴屋(しばや)の蚊やり火にわがしたむせぶこころをも知れ(為家五社百首)

蚊やり火のけぶりを見ても思ひ知れたちそふこひの身にあまるとは(続後拾遺和歌集)

夏草のしげきおもひは蚊やり火の下(した)にのみこそもえわたりけれ(新勅撰和歌集)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鵜河

2010年06月22日 | 日本古典文学-和歌-夏

大井川くだす鵜舟(うぶね)のかず見えてかがり火なびく夕やみの空(夫木抄)

うかひ舟瀬々さしのぼる白波にうつりてくだるかがり火のかげ(続千載和歌集)

大井川いく瀬うぶねの過ぎぬらんほのかになりぬかがり火のかげ(金葉和歌集)

大井川鵜舟はそれと見えわかで山もとめぐるかがり火のかげ(風雅和歌集)

大空にあらぬものから川波に星とぞみゆるかがり火のかげ(夫木抄)

篝火のかげにぞしるき玉川の鮎ふす瀬には光そひつつ(夫木抄)

かひのぼる鵜舟の網のしげければ瀬にふす鮎のゆくかたぞなき(夫木抄)

大井川かがりさしゆく鵜かひ舟いく瀬に夏の夜をあかすらむ(新古今和歌集)

もがみがは鵜舟のかがりもろともにこがれてものを思ふころかな(夫木抄)

(2009年8月8日に掲載した「鵜河」の記事は削除しました。)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

水鶏(くひな)

2010年06月21日 | 日本古典文学-和歌-夏

かげしげき木(こ)のしたやみのくらき夜に水の音してくひな鳴くなり(風雅和歌集)

杣人(そまひと)の暮れにやど借るここちして庵をたたくくひななりけり(山家集)

夜もすがらはかなくたたくくひなかなさせる戸もなき柴の仮屋を(金葉和歌集)

たたくとてやどの妻戸をあけたれば人もこずゑのくひななりけり(拾遺和歌集)

夏の夜はうたたねながら明けなましたたく水鶏(くひな)の音なかりせば(新後撰和歌集)

夢をだに結びもあへぬみじか夜になにと水鶏のおどろかすらむ(藤葉和歌集)

くひなだにたたけばあくる夏の夜をこころみじかき人やかへりし(古今和歌六帖)

(2009年8月7日に掲載した「水鶏(くひな)」の記事は削除しました。)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏虫

2010年06月17日 | 日本古典文学-和歌-夏

やへむぐらしげきやどには夏むしの声よりほかにとふ人もなし(後撰和歌集)

宵のまもはかなく見ゆる夏虫にまどひまされる恋もするかな(古今和歌集)

つつめどもかくれぬものは夏虫の身よりあまれるおもひなりけり(後撰和歌集)

身にあまりおもひぞしるき沢みづ の底までもゆる夏虫のかげ(御室五十首)

昼は鳴き夜はもえてぞながらふる螢も蝉もわが身なりけり(古今和歌六帖)

いかにして燃ゆるうちにも入(い)りぬらむおもひに身をもかふる虫かな(永久百首)

宵のまに身を投げつめる夏虫は消えてや人に逢ふと聞くらむ(伊勢集)

おもひには身をもかへつる夏虫の消えても逢ふとたれかいひけむ(陽成院歌合)

恋すとて身はいたづ らにならばなれわれ夏虫になりやしなまし(陽成院歌合)

夏虫の身をいたづ らになすこともひとつおもひによりてなりけり(古今和歌集)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

螢(ほたる)

2010年06月16日 | 日本古典文学-和歌-夏

夏草のしげみのしたの沢みづ にかげも乱れてとぶほたるかな(伏見天皇詠百首和歌)

夕されば野沢にしげる葦の根のしたにみだれてとぶ螢かな(文保百首)

せきとめてすずむ木蔭(こかげ)の山水に夕ぐれしるくとぶほたるかな(宝治百首)

草ふかき荒れたるやどのともし火の風にきえぬはほたるなりけり(新勅撰和歌集)

秋近きむぐらの宿の夕露にしげきほたるのかげぞみだるる(嘉元百首)
.

わが恋はもゆるほたるの色みえてねをこそたてね人や知るらむ(慈鎮詠草)

色みえてむせぶおもひを人とはばもゆるほたるぞそれとこたへむ(亀山殿七百首)

音もせでおもひに燃ゆるほたるこそ鳴く虫よりもあはれなりけり(後拾遺和歌集)

声はせで身をのみこがす螢こそ云ふにもまさるおもひなるらめ(源氏物語)

なくこゑのきこえぬもののかなしきはしのびに燃ゆるほたるなりけり(詞花和歌集)

ゆくほたる草のたもとにつつめどもなほかくれぬはおもひなりけり(後鳥羽院御集)

たれか知るしのぶの山の谷ふかみもゆる螢のおもひありとは(藤河五百首)

みをつくしたてる入り江にとぶ螢ふかきおもひのしるしとぞ見る(邦高親王御百首)

おもひをば消(け)たぬものから水(み)さび江のあたりはなれずとぶ螢かな(続草庵集)

もの思へば沢の螢もわが身よりあくがれいづる魂(たま)かとぞ見る(和泉式部集)

おもひあれば袖に螢をつつみても言はばやものをとふ人はなし(新古今和歌集)

(2009年7月29日に掲載した「ほたる」の記事は削除しました。)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする