monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

蝉・空蝉(うつせみ)

2010年06月15日 | 日本古典文学-和歌-夏

夏の山みねのこずゑし高ければ空にぞ蝉(せみ)のこゑもきこゆる(和漢朗詠集)

しばしだにたえ間もなきは夏山のこずゑにつづく蝉のもろ声(続千載和歌集)

夕立の晴れを待ちけりやまびこのこたふる山の蝉のもろごゑ(影供歌合)

夕立のはれゆく峰のうつせみは羽(は)におく露やすずしかるらむ(文保百首)

鳴くせみのこゑもすずしき山かげに楢の葉つたひ風わたるなり(伏見院御集)

秋風を待ちつるそらに空蝉の鳴く音(ね)すずしき杜(もり)のかげかな(正治二年初度百首)

鳴くせみの羽(は)におく露に秋かけて木かげすずしき夕ぐれのこゑ(続古今和歌集)
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空蝉の鳴きて恋ふれど来ぬ人をまつにも過ぐる夏の月かな(順集)

うちはへてねをなきくらす空蝉のむなしき恋も我はするかな(後撰和歌集)

おのれなく心からにやうつせみの羽(は)におく露に身をくだくらむ(新勅撰和歌集)

つらきとも憂きをも今は思ひあまりただうつせみのねをのみぞなく(六条修理大夫集)

あはれといふ人はなくとも空蝉のからになるまでなかむとぞ思ふ(玉葉和歌集)

心からねをのみなきて空蝉のむなしき恋に身をやかへまし(永享百首)

つらくともなほ空蝉の身をかへてのちの世までや人を恋ひまし(新後撰和歌集)
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入り日さしなくうつせみのこゑきけば露のわが身ぞかなしかりける(好忠集)

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「日本古典文学-和歌」のカテゴリーを四季に細別

2010年06月15日 | 日本古典文学-和歌

 当ブログの「日本古典文学-和歌」のカテゴリーの記事数が増えたので、さらに春夏秋冬の四季に細別しました。

 ちなみに、現在の暦をそのまま陰暦の暦に当てはめているので、実際の季節とはズレがあります。1~3月を春、4~6月を夏、7~9月を秋、10~12月を冬としています。(ところどころそうなってない部分もありますが…。)
 恋の歌や雑の歌など無季節の歌も、なるべくそれっぽい季節のところに混ぜています。

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夏の月

2010年06月13日 | 日本古典文学-和歌-夏

真木のとのあくるもやすきみじか夜に待たれずいでよいざよひの月(宝治百首)

夕立の風にわかれて行く雲におくれてのぼる山の端の月(風雅和歌集)

夏の月ひかり惜しまで照るときはながるる水にかげろふぞたつ(新撰万葉集)

かげきよみ夏の夜すがら照る月を天のとわたる舟かとぞ見る(夫木抄)

心ある夏のけしきのこよひかな木の間の月にくひなこゑして(風雅和歌集)

夏の夜もすずしかりけり月かげは庭しろたへの霜と見えつつ(後拾遺和歌集)

風そよぐ軒ばの竹にもる月の夜(よ)の間(ま)ばかりぞ夏もすずしき(新後撰和歌集)

さらぬだにひかりすずしき夏の夜の月をしみづ にやどしてぞ見る(千載和歌集)

手にむすぶ岩井のしみづ 底みえて影もにごらぬ夏の夜の月(続古今和歌集)

山水のいはもる音もさよふけて木のまの月のかげぞすずしき(風雅和歌集)

すずみつるあまたの宿もしづまりて夜ふけて白き道のべの月(風雅和歌集)

天のとのあくるほどなきみじか夜にゆくかた遠くのこる月影(新後撰和歌集)

夏の夜の月はほどなく入りぬともやどれる水に影はとめなん(後拾遺和歌集)

明けぬともなほ影のこせ白たへの卯の花山のみじか夜の月(新千載和歌集)

(2009年8月6日に掲載した「夏の月」の記事は削除しました。)

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夏風

2010年06月12日 | 日本古典文学-和歌-夏

しげりゆく夏野の草のふかみどりなびく葉ずゑの風ぞ涼しき(宝治百首)

うすけれど衣(ころも)は千重(ちへ)のここちして吹けども風の身にぞさはらぬ(新撰和歌六帖)

ゆきなやむ牛のあゆみにたつ塵(ちり)の風さへあつき夏の小車(をぐるま)(玉葉和歌集)

庭のおもは日かげゆるがぬ夏草になびくばかりの風ぞ涼しき(夫木抄)

かはづ 鳴くはすの下葉のさざなみに浮き草わくる夕ぐれの風(千五百番歌合)

夏の日もかたぶく池のはちす葉にゆふなみこゆる風ぞすずしき(新続古今和歌集)

夏山のみどりの木々を吹きかへしゆふたつ風の袖にすずしき(玉葉和歌集)

吹く風に我が身をなして草しげみ葉分けをしつつ逢はんとぞ思ふ(古今和歌六帖)

(2009年7月31日に掲載した「夏風」の記事は削除しました。)

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つづら

2010年06月10日 | 日本古典文学-和歌-夏

なごの海の浦べにおふる浜つづ らたえまくるしきものをこそ思へ(堀川院艶書合)

知らせばや真砂がくれの浜つづ ら下にくるしく思ふ心を(宗尊親王百五十番歌合)

波かくる駿河の海のはまつづ らくる夜も知らでぬるる袖かな(続草庵集)

山高み谷べに這へるあをつづ らたゆるときなく逢ふよしもがな(古今和歌六帖)

山がつの垣ほに這へるあをつづ らたづ ねくれども逢ふよしもなし(古今和歌六帖)

たがかたに心いるともあづさ弓ひき野のつづ らくる夜ありせば(宝治百首)

かへるさのあしたの原のあをつづ らくるしき道と今ぞ知りぬる(現存和歌六帖)

来ぬも憂く来るも苦しきあをつづ らいかなるかたに思ひたえなん(後拾遺和歌集)

(2009年8月4日に掲載した「つづ ら」の記事は削除しました。)

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