「秋風一夜百千年」 ~酬恩庵一休寺 ②
一休宗純は室町時代の臨済宗の僧でその生涯に様々なエピソードを残した事から、江戸時代に説話が作られ、「頓知の一休さん」として有名となる。
応永22年(1425年)には、大徳寺の高僧である師匠から出題された公案(禅問答)に対する回答として、
「有漏路(うろぢ)より無漏路(むろぢ)へ帰る 一休み 雨ふらば降れ 風ふかば吹け」
と答えたことから、師匠より「一休」の道号を授かる。
※有漏路(うろぢ)とは煩悩。無漏路(むろぢ)とは悟り=仏を指す。
彼は破天荒で奇抜な人生を送った稀有の詩人であった。
寺には彼の人となりを表す肖像画が多数、残っている。
我々世代にはアニメ「一休さん」のかわいらしい画像が脳裏に焼き付いてはいるが、実像はどうだったのだろう。
数々の説話を彷彿とさせる、一休寺の佇まい。
一休宗純が残した言葉(ウイキペディアより)
- 門松は冥土の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし
- 釈迦といふ いたづらものが世にいでて おほくの人をまよはするかな
- 女をば 法の御蔵と 云うぞ実に 釈迦も達磨も ひょいひょいと生む
- 世の中は起きて箱して(糞して)寝て食って後は死ぬるを待つばかりなり
- 南無釈迦じゃ 娑婆じゃ地獄じゃ 苦じゃ楽じゃ どうじゃこうじゃと いうが愚かじゃ
- えりまきの 温かそうな 黒坊主 こいつの法が 天下一なり
- 分け登る 麓の道は多けれど 同じ高嶺の月こそ見れ
そのなかで、本記事のタイトルに使わせていただいたのが・・・・
- 秋風一夜百千年(秋風のなかあなたと共にいる。それは百年にも千年の歳月にも値するものだ)
この言葉を静かに心に刻む晩秋である。
いつか、誰もいないときに、この寺を訪ねて彼の魂と禅問答したいものだ。
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