二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

地図を持たない旅人

2011年12月21日 | Blog & Photo
『武蔵野に散歩する人は、道に迷うことを苦にしてはならない。どの路でも足の向くほうへゆけばかならずそこに見るべく、聞くべく、感ずべき獲物がある。武蔵野の美はただその縦横に通ずる数千条の路を当(あて)もなく歩くことによって始めて獲(え)られる。春、夏、秋、冬、朝、昼、夕、夜、月にも、雪にも、風にも、霧にも、霜にも、雨にも、時雨にも、ただこの路をぶらぶら歩いて思いつきしだいに右し左すれば随処(ずいしょ)に吾らを満足さするものがある。これがじつにまた、武蔵野第一の特色だろうと自分はしみじみ感じている。武蔵野を除いて日本にこのような処がどこにあるか。』・・・国木田独歩「武蔵野」より この一節は「武蔵野」のなかでも、とくに有名な一節で、よく引用される。“武蔵野に散歩する人は、道に迷うことを苦にしてはならない” その通り・・・だとわたしはおもう。 ほんとうの「街歩き」は、地図を捨てるところからはじまる。 . . . 本文を読む
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