このあいだランチを食べながら、不動産仲間と話していて、「男のロマンが、この日本ではほぼ死滅したか、死滅寸前だね」という話になった。
NHKの時代劇でいま放送されている「江」という番組があるが、彼はその番組をみるのを、八月のはじめでやめてしまったというのである。
「あれは歴史・時代ドラマではなく、家庭劇、ホームドラマなんだね。どちらかというと、女性視聴者向けの。大の男がまじめにみようとすると、白ける」
「なんだ、そんなこといまにはじまったことじゃないだろう。男性の女性化がすすんで、われわれが若いころ盛んにみた歴史劇、時代劇は、もう視聴率がとれないそうだよ。長寿番組・水戸黄門も放送終了だし」
「男のロマンが消えたということだろう」
そこでほぼ同世代の彼とわたしの意見は一致したのである(笑)。
男のロマンといって最初に思い出す作品はなんだろう?
昔なら、「三国志」「平家物語」あたりだし、マンガ好きなら、「巨人の星」「明日のジョー」あたりかなあ。古いけれど(^^;) いまはなんだろう。
英雄豪傑が活躍し、血湧き肉躍る物語というものが、かつてある種の規範またはロマンとして存在したのに。謎の美女が登場し、男どもを翻弄する。そして、あっというどんでん返しがあって、はらはらドキドキ。まあ、ワンパターンの勧善懲悪ものと紙一重なのだけれど。
「鬼平犯科帳」なんかも、変形された英雄豪傑譚に属するだろう。ほかには太閤記、水滸伝、三銃士等々。
「おじさんたちは、なぜ時代劇、時代小説が好きなのか」
むろん単なるノスタルジックというだけではない理由があるはず。
いまやだれが考えても、世代が共有できるような「大いなる物語」が成立しない時代なのである。
家族が四人いたとしても、家の中にはTVが四台あって、四人がそれぞれの部屋で別な番組をみている。人びとは我慢しなくなり、気ままで自由にふるまえる物質的な豊かさを手に入れたかわりに、人間的な絆が薄くなって、不動産業界でいえば、連帯保証人になるような人がいない・・・というケースがふえている。
家賃の支払い(滞納)の保証はお金を払えば保証会社がやってくれる。しかし、身元保証までしてくれるわけではない。事故で救急病院にはこばれたら、あるいは死亡したらどうなる?
男たちの大半は自信を喪失し、迷走している。そのうえ、男女を問わず、コミュニケーション障害に悩む人がふえている。
昭和は遠くなりにけり。淋しい、さびしい時代なのであ~る(=_=)
トップと上二枚は、今日のわが家。菊屋敷に、霧雨が降っている。
これは、えーと、サザンカかな?
蕾がほぐれかけ、なんともいえない初々しさをたたえている。