のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

千歳 3

2009-06-09 | 小説 忍路(おしょろ)
 千歳は私の想像とは違って、雪が少ないと思った。 至る所に黒い土が顔を見せ、道はぬかるんでいた。  それでも地上の空気は凛と張り詰め、その冷気が私の頬を引き締めた。私は里依子の面影を胸に、表皮よりも心に緊張を覚えながらロビーに掲示された空港の案内板を眺めたりしていた。  鈴の音のような声が私の名を呼んだ。振り返るとそこに里依子が立っていた。  彼女は仕事を抜け出して来たのだろう、体によく合 . . . 本文を読む
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