エグマが本を訳して伝えた内容には驚くべき事が含まれていた。今に伝えられていない生々しい歴史がそこにはあったのだ。
「まさに眠らされた王家の歴史だぜ。」ダルカンが思わず声を上げた
エグマの話がさらに続けられた。それは次のような話だった。
砂漠の民が住んでいたオアシスが涸れ、多くの民は生きる希望を失っていた。砂漠の王は民から重税を課して . . . 本文を読む
「やっぱり来なかったな。」カルパコが言った。遠くから十時を知らせる鐘の音が聞こえて来た。
「今日は大変だったからな。仕方ないよ。」
「そうね。」
「それじゃ俺達だけで行くか。」
「そうしよう。」
セブズーの町の広場には、建国祭の夜祭りがまだ続いていて、あちこちでかがり火が焚かれ、その周りで若い男女の踊りの輪がいくつも出来ていた。夜店が並び甘い . . . 本文を読む