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筆触法(第六週)鉛筆

2017-07-08 | 心のデッサン無料公開授業

 

鉛筆と紙と力の関係=心(筆圧)

 筆圧を意識するとデッサンは質的に変わります。その意識が心のデッサンとあなたを結びつけるのです

 

 

 

筆触法(5/31) 筆触法(第二週)(6/9) 筆触法(第三週)(6/16) 筆触法(第四週)(6/23) 筆触法(第五週)(6/30)

の続きです。初めての方は、最初からお試しくださることをお勧めします。

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今回筆触法は、道具(鉛筆)について考えてみたいと思います。

鉛筆は描くための道具ですから、要は自分の描きやすいものを使えばいいわけです。

その前提のもと、筆触法の考え方に基づいて、鉛筆の使い方を書いてみます。


筆触法では、基本一本の鉛筆を使います。

今までの授業では、複数の鉛筆使用で説明しましたが、要はこの複数の鉛筆の効果を一本の鉛筆で代用するわけです。


その理由を先に説明しておきますと、筆触法は自分の心をデッサンに反映させるための技法だということです。


簡単に言えば、道具に頼らずに、デッサンにかかわる自分の量をなるべく増やすことにあります。そのために鉛筆の濃さを自分の力を加減することでつかもうとするのは、筆触法にとって大事なことなのです。

 

デッサンの基本は描線ですね。

そのもっとも基礎にあるのが、紙の上に引かれた線の濃さ。たったこれだけです。

 

この濃さを心でコントロールするのが筆触法の基礎ということになるのです。

 

表題の図は、一本の鉛筆で引いた線のグラデーションです。

この線の違いはどこにあると思います?

いうまでもなく筆圧ですね。

 

線の濃さをコントロールするのは道具の種類ではなく筆圧だと、まず理解していただきたいのです。


さてではどのように筆圧をコントロールするのか。これが今回の課題です。

自分の力加減を実現するために鉛筆の持ち方があります。それを順次説明していきましょう。筆触法では①筆記態、②純手態、③受け手態の三種類を基本とします。激情を引き受けるためのアイスピック態もありますが、これは割愛します。


①筆記態

いうまでもなく、文字等を描く手の形ですね。この形は手首と指の動きを使いますので、細密画に適しており、筆圧の面からいうと、もっとも強い力を伝えることが出来ます。表題の線の上から5行目あたりまで、この筆記態で描きました。

先に言っておきますが、筆記態で最微弱の線が引けないわけではありません。今回の説明は望みの筆圧で描く場合のもっとも描きやすい持ち方を言っているだけですのでその点ご理解下さい。

②順手態

デッサン教室などで必ず教えてもらう一般的な持ち方ですね。

手首と指は固定したままで、線は腕の動きを使います。筆記態に比べて自由に大きな線を描くことが出来ます。

手首と指を固定している分、筆圧のコントロールは腕の力を加減することで行います。表題の図の5行目から10行目あたりを描くのに適しています。


③受け手態

人差し指の横腹の上に鉛筆を乗せて描きます。この方法は人さし指を支点にして、親指で軽く支える持ち方です。この方法は最微弱な線を引くのに適しています。

人差し指と親指で握ると、強い線は引けますが、受け手態のもっとも特徴的な描線は、鉛筆の重さで描くということです。

親指を離すと、鉛筆は真ん中でバランスをとって人差し指の上に乗っていますね。それを利用するわけです。

鉛筆の頭の方を人差し指に載せると、シーソーのように鉛筆の芯が下がって画面に接触します。そのまま線を引けば、鉛筆の重さで線が引けますね。

さらに親指で鉛筆の頭を抑えてやると、その力の分だけ、紙にかかる鉛筆の力は軽くなります。まさに鉛筆のシーソーです。理論的にはこの方法だと、鉛筆の重さからゼロになるまで、筆圧をコントロールすることが出来るわけです。

③の写真は、親指の力で鉛筆の先を浮き上がらせた状態だということが分かりますね。その力具合によって鉛筆が紙に触れた瞬間、音楽でいうピア二ッシモの描線が生まれるのです。

図で言えば10行目あたりから、写真では見えない最微弱の筆圧描線をこの受け手態で描けるのです。

 

この筆圧のバリエーションの中から、あなたは今引こうとしている線とあなた自身の体感が融合します。あなたの全身が働いてデッサンとなるのです。

デッサン上にはほとんど表れてこないピアニッシモの描線でさえ、強い心の動きの反映として現れてくるわけですね。実際最微弱の描線は、やってみるとすぐわかりますが、一番疲れます。

私が心のデッサンと呼ぶ理由は、この総合の中にあります。

習いたての言葉をつかえば、中動態のデッサンがこうして生まれるのです。


勿論これは理論ですから、このことばどおりしなければならないと考えるのは本末転倒だと申し上げておきます。

心のデッサンは、一切の制約、目標、こだわりから解放されたところに生まれます。筆触法はそのためのガイドであって、目標となってはなりません。

受動態・能動態のデッサンから卒業するための筆触法ですから、存分に自分の心と向き合っていただきたいと思います。


ところで筆触法最初の行程、アリとなって描く光の中のものの形ですが、イメージとして図の10~11の弱い筆圧(アリの体重を意識したらうまくいくかもしれません。)がいいでしょう。

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2017-07-08 01:51:13
dessin(素描)・・・誘われて描く
能動的でも受動的でもなく、自ずとつられるかのように・・・
生命から自己になるあいだ
自己に先立つ生命と関係する何か
命と私のあいだにあるもの
私の前にあり、私を駆動させるもの

デッサンは私になる過程とも言うべきものなのでしょうね。
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Unknown様 (のしてんてん)
2017-07-08 09:29:05
まず御礼申し上げます。
Unknown様からご教示いただきました中動態という思考方法は、私にとってのど元まで出ていて出てこない状態の金言でした。

人間の心の歴史をかえりみれば、この中動態は自然への回帰だという事がよく分かります。

まさに、「デッサンは私になる過程」を(アリになったり闇になったりした)自分の足で歩んでいくことなのです。

これ以上の洞察はございません。

重ねて御礼申し上げます。

Unknown様も是非、筆触法をお楽しみ下さい^ね^
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