のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

スケールマシン(スケール号の冒険)

2019-08-03 | 5次元宇宙に生きる(神)

もこりんがようやく、命綱を手繰ってスケール号の背中までたどり着いた。刺された傷は大きいが、気力を振り絞って立ち上がった。

 もう時間がない。四人は素粒子爆弾の箱の回りを取り囲んだ。

  「艦長、爆弾は外せそうか、もう時間がないぞ。」博士がスケール号の中からマイクを使って話しかけて来た。

  「何とかやって見ます。」

  「四人で一度に持ち上げるだス。」

  「よし、やるでヤす。」

  四角の箱の隅を一人ずつ持って、一斉に力を入れた。

  「イッセイノー、デー!」

  「ヒエ―ッニャゴー~~~」スケール号の悲鳴が同時に上がった。

  四人の力がぴったり合わさった時、メリメリと音がして、素粒子爆弾の箱がスケール号の背中の皮ごとはがれたのだ。

 背中の皮が爆弾のかたちにはがれている。よほど痛かったのだろう。スケール号の目に涙が溜まっていたが、誰もそんなものにかまっている暇はなかった。爆発まであと一分。

  「博士、やりましたよ。」

  「よくやった。艦長、それをスケール号の力で、チュウスケの口に投げ込めないか。」

  「なるほど、博士、それはいい考えです。やってみます。」

  ほんの数秒の間だったが、艦長は素粒子爆弾をチュウスケの口に投げ込むためにはどうすればいいか、考えた。

  しっぽで跳ね飛ばす。

 爆弾に艦長の空飛ぶ靴をはかせて、飛ばす。

  スケール号の口にくわえさせて、チュウスケ目がけて吹き飛ばす。 

  スケール号の後ろ脚で蹴飛ばす。

  一瞬そこまで考えて、艦長は決断した。

  「よし、みんなで箱をチュウスケ目がけて投げるのだ。」

  「せーの、えい。」

 素粒子爆弾がのろのろとチュウスケの方に向かって動き出した。

  「艦長、だめでヤす。時間がないでヤすよ。」

  あと二十秒。

 「みんな、スケール号にしがみつけ。」

  「スケール号、方向転換して、素粒子爆弾をヘディングでチュウスケの口の中にたたき込むんだ。」

  艦長は心の中でスケール号に命令した。あと十秒。

  「ゴロニャーン」

  スケール号が反転して勢いをつけ、ぐっと頭を前に突き出した。素粒子爆弾の四角い箱がロケットより速くすっ飛んだ。

  九、八、七、六、五、

 爆弾はチュウスケの口元まで進んだ。チュウスケの吸い込み技のために爆弾は一段とスピードを増して、チュウスケの口の中に吸い込まれて行った。

  「こ、これは何だチュチュウ!」チュウスケは素粒子爆弾を飲み込んでしまったことに気づいたが、それを吐き出す時間がなかった。もう間に合わなかったのだ。

  四、三、二、一、0、

  「チュチュウワワワワー!」

  一瞬宇宙は真っ白な光りに包まれた。それが解けるようなオレンジ色に変化し、その瞬間。耳をつんざくような、全身がこわれてしましそうな振動が伝わってきた。スケール号の船体がビリビリと震ふるえた。

  それから強烈な宇宙風がやって来た。

 その激しい衝撃波をスケール号は腹で受け止めた。背中にいる艦長達の身を守るためだ。

 しかしそれは艦長の命令ではなかった。すでにその時、艦長の意識はなかったのだから。

 その時初めて、スケール号は己の意志で動いたのだ。しかしそれを知るものは誰もいなかった。

  スケール号は衝撃波を受けて暗黒星雲の外に激しく飛ばされていた。次第にゆるやかになり、ようやく止まった。静寂がやってきた。

 スケール号の操縦席にしがみついて難を逃れた博士は、恐る恐る目を開けてあたりを見回した。初めて経験するすさまじい爆発だった。ビックバンを一瞬で経験したようなものだ。

 スケール号の船内は、いたるところから煙があがっていた、パチパチと火花があがった。

 博士はよろよろと起き上がり、計器を調べた。とりあえずスケール号は無事のようだ。マイクも正常に動いている。外にいる仲間と通信出来るのだ。

  「大丈夫か。」

 博士がスピーカーから呼びかけた。しかしスケール号の外からはだれの声も聞こえて来なかった。しんと静まり返って、博士が一人スケール号の操縦室に突っ立っていた。

  「ツーーーー」スピーカーのスイッチが入ったまま、誰も応答する者がいないのだ。

  「応答せよ、艦長、ぴょんた、!」

  「ツーーーー」

  「返事をするんだ、ぐうすか、もこりん!」

  「ツーーーー」

  「聞こえるか、艦長、どうした、返事をしろ。」博士は必死になって呼びかけた。しかしどこからも声は聞こえなかった。博士の心に不吉な予感が走った。まさか。

 スケール号のからだはセンサーの毛でおおわれている。その上で動くものがあればどんなものでも感知できるのだが、その画面には何の反応もなかった。全員爆風で吹き飛ばされたのかもしれない。博士の不安は恐怖に変わった。

 「艦長、ぴょんた、もこりん、ぐうすか、どうしたんだー!」

  「ツーーーー」

  長い間スピーカーは無言だった。博士の不安は絶望に変わり始めた。しばらくして、聞き慣れた声がスピーカーから流れて来た。

  「ははははははははは」

  「はははっあはっはははっはははは」

  「ははっははっははっははっははっははっははっ」

  暗黒星雲から聞こえて来る優しい歌声だ。その声は柔らかく、そして励ますような響きがあった。

  「はははははっはははははっはははははっあははははっあはははは」

 「あはははっあははははっあっはははははっ」

 「はははははははははははは」

 博士の心にわき起こっていた不安が少しずつ和らげられていくようだった。

 「何という優しい声なんだ。」

 博士は思わず涙を流した。あの激しい爆風の中、誰も生き延びられないことは、博士が一番知っている事だった。なぜわしが行かなかったのか。悔悟の念が一歩後れて博士の心を突き上げた。

 「すまない、艦長、もこりん、ぐうすか、ぴょんた。」

 「はははははぁはははははぁはははははぁぁ」

 博士の悲しみの涙は、気付かないままいつの間にか、母親の胸に抱かれて泣いている赤子のようになっていった。

 その時だった、スピーカーからうめき声が聞こえたのは。

 「ううっ、」

 「誰だ、艦長か、ぐうすかか、ぴょんたか、もこりんか、誰でもいい返事をしてくれ。」博士はマイクにしがみついて呼びかけた。

 「は、博士、」

 「おお、艦長か、どうした、皆は大丈夫なのか。」

 「博士、何とか生きてます。」

 「ほかのみんなははどうしたんだ。」

 「強い爆風で気を失ってしまっていたようです。もこりんも、ぴょんたも、それにぐうすかも大丈夫です。負傷者はいますが、みな生きています。安心して下さい。」

 「よかった。」

 「はははっあはははっあはははっあはははっあははっ」

  宇宙の声が喜んでくれているように響いた。博士は前が見えないぐらい涙が出て止まらなかった。それはもちろん、うれし涙と感動の涙をふたつ掛け合わせた涙だった。

 「これよりスケール号に戻ります。」艦長の力強い声がした。

 「了解!」博士は素早く涙をふいた。

 

 

つづく

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宇宙の小径 2019.8.3

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頭脳のこと(3)

 

喜びと苦悩は裏と表のようなもの

プラスとマイナスと考えてもいい

プラス思考とマイナス思考

これらは頭脳が作りだすエネルギーなのだ

 

このエネルギーを味わってみよう

そう思って眺めてみたら

プラス思考とマイナス思考には

それぞれの色があるのがわかる

 

色というのは雰囲気のことだ

心の空気と言ってもいい

心の在りようである

 

プラス思考は

明るく

軽い朗らかな気持ちが拡がる

希望に満ちて

何より己の存在を

価値あるものと思える

そんな心の色をしている

そんな心のエネルギーに触れれば

それがプラス思考だというのが分かる

 

マイナス思考は

暗く

思い岩穴に閉じ込められるような閉塞感

絶望的で

自分を無力で

何もできないもののように思ってしまう

苔むした墓場のような色だ

不安や恐れ、羨望や自己嫌悪に

胸がつかえて痛む

つまりそれが

マイナス思考の色なのだ

 

頭脳は思考(エネルギー)を作りだす

注意して眺めていれば

いつもこの二つの色が昼と夜のように

繰り返されているのが分かる

 

大事なことは

この心の色は思考エネルギーであり

思考エネルギーは別の思考によって

思うように変化させることが出来るということだ

それが頭脳の働きと言っていいだろう

 

人には

頭脳を働かせて

思考エネルギーをプラスに変えるという

訓練の道がある

 

宗教で救われるものは幸いである

自力で苦悩を断ち切ることのできるものも幸いである

どちらにも属さない

人間もまた幸いである

 

なぜなら

我々には

エネルギーをプラス思考に変える

能力があるということなのだ

 

人はマイナス思考を

プラス思考に変える力を持っている

それが頭脳の力なのだ

頭脳は

人間を物質面から空間へつなぐために働く

よりよき精神をつくるためにあると

言えるのである

 

 

 

 

 

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