苦楽のテーマ4枚作品のうち、一枚が完成した。今はその2枚目を作成中だ。
その間に、本願という言葉が私の中で大きく響くようになった。ようやく「浄土」の案内状を印刷して配ってもいいという自信を持てるようになってきた。
案内用のポスターの最終案を前日御住職にお渡ししていて、その可否を電話で伺った。
内容についての了解は得ているので、使用した文字などの誤りがあれば修正するつもりだったのだが、電話の向こうの御住職は困り切ったような声で始まった。それが私には意外だった。
会期を5月6日から5月9日という設定で進んでいた。6日7日の法要を含めた日程で、檀家さんにも見てもらえる個展というのが私の思いだった。出来れば連休中の日程で、法要の前から会期を取りたかったのだが、準備もあるのでと、今の日程に落ち着いたのだった。
「なぜ9日まで必要なのですかな」と御住職の声。
私はそれが寺の許していただける日程と思い込んでいたので、返答はあいまいで言葉が口の中でもつれてしまうばかりだ。
「寺の準備とか、いろいろ住職の一存で行かないこともありましてな、ちょっと困っていますのや。絵の展示は永代経の6日・7日でいけませんかな。」
「もちろんそれでかまいません。お寺さんに迷惑はおかけしないというのが第一ですから」
私は即座にそう答えてはいたが、心は薄暗いもやが立ち込めたように思えた。
電話がおわって、その陰りが自分の中で増殖していくのがわかる。
とても絵を描く心にはならない。
だが、不思議なことに、私の思いは今までとは違っていた。
何かよくわからないが心の隅に、あるいは中心にだったのかもしれないが、これはありがたいことののだという声のような、プラスのエネルギーを感じたのだ。
いつもの私なら苦悩に転じる状況の中に、プラスの波動のようなものを感じた。私はその場所に意識を集中させて、その波動の中に入っていこうとした。
すると、「本願」という言葉が意識に照らし出されるように見えた。
「今を逃してはならぬ」そんな思いも生まれて来た。
そんな流れのまま、私は今こそ、この心に立ち込めている重苦しい陰りを見つめる時だと感じていた。
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