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「バブバブ」
艦長も元気な声を上げました。
空飛ぶ揺りかごは北斗を元気にするものがそろっているに違いありません。
あまり元気とは言えなかった北斗が一回り大きくなったように思えて、ジイジは嬉しいのです。
「それで博士、困っている赤ちゃんの話をしてください。」
「おお、そうだったね。」
博士は思い出したように、少し改まってみんなの前に立ちました。
「元気な赤ちゃん院というところで生まれた赤ちゃんなのだが、
他の赤ちゃんより半年も早く生まれてしまった。」
「すごい!優秀な赤ちゃんでヤすね。」
「違うんだよもこりん。赤ちゃんはお母さんのおなかの中で栄養をもらって
大きくなるというのは知っているね。」
「知っているでヤす。」
「すごいぞ、もこりん。そしたら赤ちゃんにしたら、
半年も早く生まれるというのはどういうことかわかるかな。」
「はいはい!博士。」
ぐうすかが勢いよく手をあげました。
「おお、ぐうすか、言ってごらん。」
「赤ちゃんが自分だと思ったらすぐわかるダすよ。半年も栄養もらえなかったら、
わたスだったら死んでしまうダす。」
「その通りだ、ぐうすか。その子はまだ一人前の赤ちゃんになる前に、
お母さんのおなかから出てきてしまったのだよ。」
「それじゃ、大変でヤすよ。どうなってしまうのでヤすか、その赤ちゃん。」
「そしたら博士、赤ちゃんはまだ半分しか身体が出来ていないのに、
もう自分で生きていかないといけないという事ですか。」
ぴょんたが口をはさみました。
「そうなのだ、ぴょんた。それがどれだけ大変なことか分かってくれるかな。」
「他のみんなはまだお母さんに栄養もらえるのに、その子だけもうお母さんから
もらえないなんて、可哀そうすぎるでヤす。」
もこりんが涙声になっています。
「その赤ちゃんはどうなるのでヤすか?博士。」
「お母さんの代わりをする特別の部屋があってね。産院の人たちが夜も寝ないで
見守っているけれど安心できない。大変なことなのだ。」
「それでスケール号はどうするのです?」
ぴょんたが聞きました。
「元気な赤ちゃん院に行って、まずその赤ちゃんに会うのだ。」
ジイジは博士に見えるように、胸を張って言いました。
「私を覚えているかいぴょんた。私がスケール号を操って、おばあさんの頭の中に入っていったことがあっただろう。
君は自分を犠牲にしておばあさんの中にいた女の子を助けたことがあったね。ほら、あの時の艦長だったのだよ。」
「おじいさんの艦長なんていなかったですよ。」
少しでも気付いてもらいたいと思いましたが、この子たちの艦長の記憶が
今の自分とつながらないのも仕方がないのかも知れません。
ジイジは少し寂しくなりましたが、そんなことは言っていられません。
今は博士となって、北斗を支えようと決心するのでした。
「艦長、元気な赤ちゃん院に行こう。スケール号にそう命令するだけでいい。」
博士は揺りかごの北斗に声をかけました。
「はふー」
北斗はかわいらしい握りこぶしを振ってスケール号に命令しました。
握りこぶしは操縦かんのつもりなのでしょう。それと同時に赤い操縦かんがカタンと動いたのです。
「ゴロにゃーン」
銀色の猫がしなやかに動いてビルの屋上に駆け上がると、空に向かって元気よく飛びあがりました。
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(ここで一休み)
スケール号の冒険の連載を始めて、他の記事がかけなくなりました。
これではハッピーアートの意味が半減して閉塞感が生まれてきました。
そこで
連載の文末にちょっとした近況報告を、
こんな形で追記することにしました。
時々ですが(ここで一休み)コーナーも併せお楽しみ下さい。
今回はのしてんてん絵画の近況です
二年後の個展に向けて龍の大作に挑戦中です
もう完全に空と一体になって、瞬間が永遠に続く感じで描いています。
私の中で五次元の実証が進んでいます。
気付き=空
それが今の私の答です
制作中の作品は尼信会館展示の作品につなぐもので
以下のような感じで広げて行って最終全27枚の組作品に仕上げます
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