縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

どんなヒスイもオンリーワンだから・・・糸魚川翡翠展2024

2024年11月15日 07時05分53秒 | ぬなかわヒスイ工房
文京区根津の「ホピショップ」で開催される、「糸魚川翡翠展2024」まで1週間をきって最後の追込み。
ここにあげた作品は、普通の職人なら短冊形の安いストラップをつくるような端材からつくってあるのだけど、面倒でも愛される作品として世に出したい一心でつくっている。
だから立体感をだすヒネリや、躍動感をだすウネリ、モノガタリを感じる線刻といった、わたし独自の技術を駆使してオンリーワンの「neo縄文アクセサリー」をつくる。
よく同業者から「どうやってつくっている?」と質問されるのだが、原石のもつ個性を活かした作品つくりした結果であって、特殊工具はつかっていない。
輪島漆器を代行販売しているのも、実は同じ想いから。
 
 
 

予定調和から即興の妙へ・・・端材からつくる「neo縄文大珠」

2024年11月08日 06時59分13秒 | ぬなかわヒスイ工房
原石の端材の形を活かした作品つくりは初心者のころから日常的にやっているのだが、ヒスイ加工の大御所に「neo縄文大珠ペンダント」と使用原石をみせたら、えらく褒められて二度見、三度見された。
ヒスイ加工は原石をカットして立方体をつくり、それを用途にあわせた厚みのプレートにカットするのが最初。その過程で端っこが不定形になるので端材利用されることが少ない・・・と思う。
わたしは用途のすくない端っこは三角の形を活かして現代風の大珠などをつくっていて、サイズや形状は二つとないオンリーワンの作品にしている。
 
先輩方の若いころはヒスイの流通量が多かったので惜しげもなく綺麗な部分だけをつかい、端材は短冊形にカットして安いストラップをつくるくらいだった。
わたしの世代は端材であっても作品化しないと商売にならず、創意工夫が試される時代だ。原石の段階と研磨後の模様を見比べてほしい。平滑に研磨すると彩度があがって色のコンストラクトが明確になっていることがわかるでしょ?
むしろ「いま在るモノ」を活かした作品つくりは、予定調和ではなくなるので「モノつくりの悦び」が感じられて愉しい。またこの悦びは割った原石から装身具をつくっていた、縄文のヒスイ加工への原点回帰のようにも思う。
 
この大珠ペンダントでも新しい研磨方法をみつけて、原石の風合いや作品イメージに合うノウハウが増えたから、端材利用といっても疎かにはできない修行だ。
 
縄文の大珠そのまま作品化している人もいるけど、でかくて重いので日常的なアクセサリーとしては如何なものか?カタチやサイズに必然性があった縄文時代ならいざ知らず、現代では造形的にも面白みがないように思うのだが。
民俗学や考古学好きからヒスイ職人になったわたしは、ヒスイを文化として捉えるからまず遺物とその背景を学ぶ。
 
そしてネオ縄文・ネオ弥生・ネオ古墳の装身具に取り組む「守破離」に忠実だから、石好きからヒスイ職人になった人からすると宇宙人みたいに思われるらしい。
 
 
 

古墳時代の黒い勾玉の謎を追う!・・・出雲大社の宝物複製「黒眞名井」

2024年11月04日 08時21分55秒 | ぬなかわヒスイ工房
11月後半の作品展の目玉に、出雲大社の眞名井の勾玉を複製した。
以前から弥生時代後期とされるこの勾玉は青海川水系のヒスイではないかと感じていたので、青海川採取の秘蔵原石を使用した。
原石の状態ではちょっと見には黒ヒスイ。実物より緑が薄く黒っぽいものの、ガラスのように透明な夜空に黒雲が浮ぶ風景がよく似ていて、これまでつくってきた複製の中で最も出来がよいので「黒眞名井」と銘をつけた。
 
遺物で黒ヒスイの装身具は見たことはなかったが、数年前に山梨の研究者から黒い勾玉が6世紀の古墳から出土したが、ガラスなのかヒスイなのか素材不明と写真鑑定を頼まれて、蛍光X線分析の前に①透過させた時の色の確認②比重測定の二点をアドバイス。
 
送られてきた透過写真は鮮やかな黄緑色だった。ガラス製なら黄緑に発色しないし、カーボン発色の黒ヒスイなら透過しないので、濃い深緑色のヒスイの可能性が高く、その後の蛍光X線分析でも硬玉ヒスイと結果がでた。
「黒眞名井」の透過光は白っぽい薄緑だが、黄緑だと原石価値がわたしには手が出ない桁違いとなる。
 
昨年に開催された大田区立博物館の「大勾玉展」で展示されていた、5世紀の群馬の「軍配山古墳」出土の丁子頭勾玉も同じヒスイのようだが、「文化遺産オンライン」では碧玉とされているのに、「国立博物館オンライン」では硬玉ヒスイ製とされているので、現地に行って調べたいと思う。
 
山梨の6世紀出土と群馬の5世紀出土と時期はずれているものの、古墳時代前期の勾玉の伝世品が埋納されたと考えれば、中部高原地帯の出土品という共通点はある。
 
時間ができたら福島・群馬・山梨・長野・岐阜までの中部高原地帯の勾玉行脚をしたいもの。ヒスイは光を透過させて二度愉しみましょ!
 
 
 

ボランティアと本業の二刀流!・・・「糸魚川翡翠展2024」の準備開始

2024年10月28日 07時54分39秒 | ぬなかわヒスイ工房
仏間に漆器を戻し、漆器通販の梱包と金銭管理、打合せの連絡まちの合間に桐箱に焼き印をおして作品展の準備。
ヒスイ加工を始めたばかりのころに「勾玉なんて傷が残っていても桐箱にいれりゃ売れる」と先達から言われ、それなら桐箱にいれなくても売れる勾玉をつくろいと決心して、6年目くらいはビニールパックにいれて売っていたが、都会で作品展をするようになってから桐箱をつかうようになった。やっぱり見た目がちがうし、展示・撤収作業が楽になったから便利でもある。
 
今年は仕事できなかったので、例年の作品展では目玉商品だけだった秘蔵のヒスイ作品を増やして、数を揃えるより単価をあげる作戦だ。
 
今日から3日つづけて作品つくりして、バテたころ合いに能登行き予定。どちらも疲れるけど、作品つくりは工房にこもった孤独な作業で、ボランティアは人と話す作業で集中の仕方がちがうから息抜きになる・・・と思うことにするw。
 
それにしても二刀流の大御所の大谷翔平はエライねぇ。
 
 
 

ボクはゲージツ家なんだナ・・・ヒスイ界の山下清の独白

2024年10月18日 06時42分57秒 | ぬなかわヒスイ工房
外国人観光客を連れてくる人がけっこういて、なぜか中国系とアメリカ人は面白がっても買い物せず、フランス人は縄文オカリナに興味をもって買ってくれる。
ホラ貝でフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」「おおシャンデリーゼ」を吹いてあげたら合唱になるノリのよさもあって、あなたはとてもシンセツでスバラシイゲージツ家ですと、翻訳アプリで褒めてくれたりするのでウレシイ。
なんとか吹けるようになったんだナ。
縄文オカリナほしいというから、ゆーきゃんせれくとでぃすと怪しい英語で説明
 
漢字の芸術家ではなく、カタカナでゲージツ家と呼ばれていると自認するのがボクなんだナ。ボクはヒスイ界の山下清なんだナ。メルシイ
 
注)ウレシイとメルシイで韻を踏んでいるところがゲージツ家の面目躍如である
 
 
 

縄文と弥生の勾玉のコラボが生むモノガタリ・・・門前町の無斑晶質安山岩製連珠「能登之神」2作目

2024年09月19日 07時25分56秒 | ぬなかわヒスイ工房
門前町の無斑晶質安山岩でつくった勾玉連珠「能登之神」(その2)
1作目は弥生後期の山陰系の実物大勾玉を中央に据えた左右に、弥生後期~古墳前期の小型勾玉を配したが、2作目はシャープな印象の縄文早期の牙玉状の勾玉を配してみた。
今のところモデルにした糸魚川市の大角地遺跡出土の滑石製の勾玉は最古級の勾玉のようだが、獣の犬歯を石でつくった牙玉とみるのが適当だと思う。
 
クニという概念のなかった縄文のプリミティブな勾玉と、クニが出現しつつあった弥生の優美な勾玉のコラボは、観た人、身に着けた人に色んなモノガタリが生まれそうだ。
それにしても大角地遺跡の勾玉だけをみるとカタクチイワシのようですナw
 
 
 

灰皿と火焔土器の類似性について考えるw・・・ヒトラーが選挙で選ばれたことを忘れちゃダメですぞ

2024年09月18日 07時14分29秒 | ぬなかわヒスイ工房
うわぁ、これも火焔土器ですかぁ?!
んな訳ないでしょ、灰皿っ!あっしゅとれい!それに火焔土器じゃなくて火焔型土器!(むしろ形状は王冠型土器にちかいけどネ)
 
すご~い。自分でつくったんですかぁ?!百均で買ったプラスチック製っ!(怒)
 
マジでそう思ったのか冗談なのか不明ながら、天真爛漫もすぎると危険だぞw
 
ヒトラーが選挙で選ばれたことを忘れちゃダメ。
 
戦前の日本ではヒトラーとムッソリーニは英雄視されたし、軍人も政治家も、そしてマスコミも「バスに乗り遅れるな」と三国同盟を主導して、太平洋戦争に繋がっていった。
 
自分で調べて考えないと、また「騙された!」と騒ぎだすことになるヨ。ふんとうにっ!
 
 
 

古の勾玉からヒトを学ぶ・・・出雲・眞名井の勾玉

2024年09月08日 08時11分16秒 | ぬなかわヒスイ工房
出雲大社ちかくの「眞名井遺跡」から出土した勾玉のレプリカを観察する機会があって、写真や実測図ではわからない頭部~尾部にかけての面取り具合を確認できた。
この勾玉は極上のロウカンヒスイであることを抜きにしても、独特のシュッとしたスマートさが魚が泳ぐような動きを生んでいて、北部九州と並んで勾玉の最高傑作のひとつだと思う。
山陰ではヒスイは加工されてなかったそうだが、北部九州の定形勾玉とは明らかに系譜がちがうし、見慣れた東部北陸の勾玉ともちがう系譜なので、西部北陸あたりでつくられたものか?作者はよほどの人物?・・・マジに会いたいと思う。
勉強のために模造を続けてきたが、必然性があっての出土品のカタチを真似しただけでは意味がなく、書道家の臨書のようにその内実を感じ取るべきもの。つまりは臨作だ。
 
常設展示されている出雲歴史博物館は照明が暗いのでわからなかったが、明るい場所ではホコリや指紋だらけで、縦半分に線がみえて樹脂製であることが判明し、神秘のベールが剥がれたけどw
 
 
 
 

わたしがヒスイ以外でも勾玉をつくる訳・・・「能登之神」無斑晶質安山岩製 古代風勾玉連珠

2024年08月24日 08時01分55秒 | ぬなかわヒスイ工房
ぬなかわヒスイ工房謹製 無斑晶質安山岩製「能登之神」古代風勾玉連珠でございます。
お客さんはいいヒスイをやすく買いたいのだから、勾玉なんて手間暇かけずつくって桐箱に収めれば、イビツだろうと傷が残ってても売れるよと、初心者のころに先達からよくアドバイスされていた・・・う~む
いまもよく見聞きするのが、不老不死の神秘の霊石とうやうやしい謳い文句でパワーストーン扱いすれば、稚拙な勾玉でも高値で売買されるという現実。
糸魚川の土産物屋で1万円で売っている安っぽい勾玉であっても、霊能者の先生が「名人が製作した特別なヒスイの勾玉」として売れば、20万でありがたいと買う人もいて、鑑定を頼まれるとヒスイでないものも多いし、わたしの作品展で見せられた場合はリメイクを頼まれたりする。
 
もっとすごいのはプラスチック製の勾玉であっても、「すごいパワー」と謳えば3万円で飛ぶように売れるそうだ。
 
作品の完成度とは関係なく、素材の希少価値や謳い文句次第で儲かるという考え方の圏外に、わたしはいる。
それならばヒスイでない石でつくった勾玉が売れるようになれば、技術を評価されたことになると思うから、無斑晶質安山岩の勾玉もつくっちゃうのだ。
 
こういった連珠が売れないうちは、未熟な中級者ということ。
 
 
 

縄文時代のハートマーク?ウサギちゃん?矢じりですって!・・・無斑晶質安山岩の矢じりペンダント

2024年08月07日 06時53分00秒 | ぬなかわヒスイ工房
「うわぁ、縄文時代にハートマークあったんですねっ!」とか
「カワイイ!ウサギちゃん?」とかの天真爛漫すぎる感想を言われるとオレは哀しい。
「矢じりペンダントですよ、矢じりのっ!」と説明すると「ヤジリってなんですかぁ?」とまで言われると、もうなんだっていい!好きに認識してちょうだい!と説明を諦める。
この経験が「ヒトの数だけ勾玉の意味がある」という学びに繋がってくる訳ですナ。お客様は神様でございマス。
試行錯誤の結果、ガラス質の無斑晶質安山岩にベストな加工を、やっとみつけた。
 
自分流のヒスイ加工をやってダメならダメなヒスイだと断定する同業者の声を聞くが、ヒスイならずとも主従関係を捨てて石にあわせた加工が必要だと思う。主役は作品なのであって作り手と原石はその構成要素。
 
柳生新陰流の「型あって型なし」という教えを自分の仕事で理解できるのだから、仕事も神様でございマス。