西原理恵子の漫画で、取り返しつかない失敗をした登場人物が、目を三日月形に吊り上げて頭を抱えて「あ”~っ!」と叫ぶ場面がある。
この時の「あ”」は、乱暴な筆文字で書かれている。
母音の「あ」に濁音を付けるとは実に秀逸な表現で、そんな時の感じがよく出ている。
他にもイジケタ時の「ぢい~ぢい~」も凄い表現だ。
言語と擬態語を合体させて絵で表現する西原理恵子は天才だ。
で、私も先日「あ”~っ!」をやっちゃいました。
以下はその顛末記。
史上初と思われる頁岩(ケツガン)の石笛を作った。
縄文時代の御物石器みたいに渋い石笛になった・・・俺って天才!
金色の粒は黄鉄鉱であり、微生物の死骸が変成したもの・・・だそうだ。
完成直後にキー測定のためのチューナーが壊れて、新しいチューナーをネット注文。
自慢じゃないが、石笛を作っている人でキーを測定した上で売っているのは我がぬなかわヒスイ工房だけだ。
そんな折に東京のお客さんから石笛の問合せ。
まだネットショップにアップしていない頁岩石笛をお勧めしたら気に入ってくれて、キー測定を待って購入の予約を頂いた。
キー測定をした晩に、地元のお客さんが勾玉の注文依頼で工房にやってきた。
参考として作品を見せるために、自室に置いてある作品を入れてあるコンテナを裏庭にある工房に運び込んで、お客さんと商談。
お客さんが帰ったあとに整理したら、頁岩石笛だけが無い!
工房や自室、ポケットのなかにも無い!
あの晩は大雪が降ったので、もしかして雪の中に落とした?
「あ”~っ!」・・・俺って大バカ野郎!!
既に石笛を注文したお客さんから入金までしてもらっているのに~!
お客さんに事情を説明して、返金・代替品を送る(値段問わず)・頁岩石笛を作り直すという三案を提示して検討して頂いたら、どうしても頁岩石笛が欲しいとのことでその晩から作り直すことになった。
それにしても良いお客さんでよかった。
どなたか、雪が溶けて石笛が出てきたら拾ってくださいな(泣き)