お蔭様で我がぬなかわヒスイ工房も、4月の設立3年目を目前にして、オーダーメイドが増えてきている。
糸魚川で拾える雑多な石でアクセサリー、勾玉なんかを作っているが、特に力を入れているのが石笛。
過去の作品を観て、同じデザインを希望するお客さんの求めに応じて作った最新作がこれ!
世界最小・世界初のペンダント石笛・世界初の音階調整用の指孔付き石笛である。
因みに背景は本物の縄文土器の破片!
こんなに透光性がある。
こんなにちっちゃい!
しかし、原石はアルビタイトにヒスイ輝石・オンファス輝石が混じっているようなヒスイで、ヒスイ業界からは評価の低いタイプの石。
評価が低いのは、白い部分の柔らかいアルビタイトと、緑の部分の硬いオンファス輝石の削れ方が違うので、綺麗に成形し難い石という事もあるだろう。
この手のヒスイで作った勾玉が売られているのを観た事があるが、確かに微妙に凸凹してヘンテコな勾玉だった。
でも俺は、業界からの評価が低くても綺麗ならいいじゃねえか、と想う。
綺麗に成形する技術があって、デザインを気にいって買ってくれるお客さんがいればいいじゃねえか、とも想う。
俺は雑多な石を相手に色んなものを造って苦労してきたので、この程度の結晶が不均一な石でもシンメトリックに成形できる。
それなりの手間暇はかかるし、綺麗に成形する技術を習得するのに苦心はしたが・・・。
それにヒスイとしての評価が低かろうが、この石は六億年の時を生きてきたのだ。
人間ごときが何を生意気な、という石の声が聴こえそうだ。
ぽってりと厚みを持たせてあるので、可愛い!という評価(笑)
縄文人は、数ある石の中からヒスイの尊さを発見して、困難な加工をしてまで宝物にした。
ところが奈良時代の仏教伝来以降は、国産ヒスイの存在が忘れ去られ、何時しか糸魚川ではヒスイが重たい石という存在価値しか認められずに、戦前は屋根の置石や漬物石に利用されていたのだ。
戦前の糸魚川ヒスイ再発見、そして糸魚川市は近年のナショナルジオパーク認定で、ヒスイ再評価の気運が高まってきている。
しかしその評価は、縄文時代とは別次元。
尊い石というよりは、金になる石・観光資源と言う評価ばかりに焦点が当てられているように想う。
「嫌ぁ~な渡世だなあ・・・。」
俺はヒスイ界の座頭市(笑)