直径6㎜の丸玉を作ってみた。
一般的な丸玉の孔直径は1・5㎜だが、それではブレスレットにしか使えないので、私は勾玉と組み合わせるためと、麻職人からの要望もあって2・5㎜の孔直径に統一している。
外径の半分近くが紐孔ということは、球体が扁平っぽくなるということで、縄文晩期くらいから登場し始めるヒスイ製の「臼玉」は、案外、丸玉を意識して作ってはいても穿孔器具が竹管だったので、結果として扁平な丸玉になったのでは?と感じている。
工業製品なら丸玉のサイズで値段は違っても、私のような手作りだと作る手間暇は変わらず、小さな丸玉ほど難しくなるから値段の決め方に悩んでしまう。
それは同業者から、普通サイズの半分以下だから値段は半分以下だろ?と言われる勾玉も同様なのだが、その一方で「どうやって作ってるの?」と驚かれたりもするのだ。驚いた技術を価格に反映しようとしないのは何故だろうか?
オルゴナイトというプラスチック製の勾玉があって、これが驚くほど高価で売買されていたりもする。ネガティブな波動を改善する効果があるとされ、パワーストーン好きな人やスピリチュアル系の人が喜んで買っているらしい。
ネット検索したらプラスチック製の勾玉でも3万円代というのもあった。特殊な技術も道具もいらず、型枠に樹脂となにやらをを流し込んだだけで3万円!原石代と手間暇、高価な加工機械と消耗品を考えるとヒスイなら10万円代で売っても安い理屈になる。
要は同じ勾玉でも、ヒスイとプラスチックでは購買層が違うのだが、万葉集に「求めし得し玉かも 拾いて得し玉かも」と詠われた得難いハズのヒスイが、工業製品のような作られ方で薄利多売され続けてきた業界の在り方を見直す時期にあるのではないだろうか。
そのことを同業者に力説し続けているのだが、「あんたは芸術家だから」と笑われるだけだ。しかし私はヒスイだから高く売れと言っているのではない。
得がたいヒスイを売るなら、それ相応の手間暇をかけて、丁寧に作った勾玉を選んで買ってくれるお客さんを育てましょうよと言っているのだ。万葉歌人が現代のヒスイ勾玉の扱われ方をみたらなんというだろうか?
孤軍奮闘にめげそうになりもするが、いつかは私の考え方が主流になる時期が来るまでと踏ん張るしかない。