各地で「輪島漆器義援金プロジェクト」の展示販売サポーターさんが動いてくれているが、なんどか情報公開時の宣伝文句の「骨董」という文言だけは却下させてもらった。
「骨董」の対象は美術工芸品で、家具膳は「古民具」に分類されるので、「骨董」では過大宣伝になってしまうからだ。むしろ戦前の「民藝運動」のように、日用雑器に「用の美」を見出すデイスカバリージャパンの機会と考えてくださいとお願いしている。
ところが輪島漆器には民具とはいえない象嵌や螺鈿を施した工芸品もあるのが厄介で、値段をつけられずに困っていた。
たまたま信州からブドウ狩りにきたお得意様の坂本篤子さんに相談したら、オークションで売ったらどう?といわれて膝をうった。
某インフルエンサーが主催する都内で1,000人規模の冬至イベントに招待されているので、某氏と組んで10分程度のオークションの真似事をして値段を決めたら高額で売れるのではないだろうか?
民具たる家具膳であっても安かったり無料で配ったりしては、絶対に大事に扱ってもらえない。つまりは内実が継承されないとあっては、漆器職人や持ち主のご先祖が泣く。むろん漆器の持ち主に渡る義援金も多くなるから願ったり。
大量生産・格安販売に慣れた現代人には、モノを粗末に扱ってはバチが当たるという気持ちが薄れてしまっている。ヒスイにしろ同様で、安いと無くしても惜しくないから大事にされないのでお守りどころではない。
実のところ「輪島漆器義援金プロジェクト」は、失われた輪島漆器で来客をもてなす文化への追悼の儀式であり、アイヌ民族に残っているモノには魂が宿るとする文化の継承と自認している。
写真の大杯が10万20万で売れるには、クレジット支払いは絶対に必要だ。可能性に向かって試行錯誤がつづく。