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特大の流れ星になった、はやぶさ君に共感の涙・・・「はやぶさ君の冒険日誌」

2025年02月25日 06時57分46秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画
宇宙開発の歴史は、国家の威信あらそいや、軍事技術競争といった生臭い側面があるが、「はやぶさ君の冒険日誌」は異質で、読了感には爽やかな厳粛さがある。
 
JAXAの研究員が、擬人化した探査機の日誌形式の広報をはじめた。最初は探査機の擬人化に否定的な研究員もいたらしい。
最初はカラーコピー版の配布とSNSで情報発信していたが、評判をよんで書籍化されたのが本書。
研究員たちによる文章も絵も実にいい。プロの漫画家やイラストレーターでは描けない朴訥の妙。星空を眺めるのが大好きな子供が、一生懸命に勉強して宇宙開発の仕事につき、その魅力を伝えたいといった純粋な温もりが伝わってくる
 
難読漢字にはフリガナがふってあり、小学生にも理解できる内容に書かれているが、結末を知っているわたしでさえも、はやぶさ君に感情移入して冒険の数々にハラハラドキドキして読んだ。
「・・・意識がふっとなくなった・・・やがて、ぼくも大気圏に飛び込み、特大の流れ星になった。みんな、ただいま。」
 
こんな共感をさそう文章を外国の宇宙開発研究者が書くだろうか?「はやぶさ君の冒険日誌」に、縄文土器や土偶をつくった祈る人々の心を感じる。
 
外国の宇宙開発に比べて低予算のプロジェクトに取り組んだスタッフたちは、「はやぶさの生還は奇跡ではなく努力が生んだ」と言い切る。
 
相次ぐトラブルでは、映画のように怒鳴り合ったりせず、「極めて冷静な情熱」で淡々と対応し、各担当のスタッフはお互いに「あの人たちが簡単にあきらめるはずはない」と信頼しあっていたと、後日の対談で語っている。
 
スーパーヒーローが活躍するというハリウッド映画のようなこともなく、各分野のプロが知恵を出し合って難問を解決していったところが、いかにも日本的で好ましい。
 
はやぶさ君は燃え尽きてしまったが、次につながる成果を残し、本書を読んだ子供が宇宙開発研究者になるやも知れない。
 
読んでみたい方、糸魚川図書館で借りられるし、JAXAのホームページの「はやぶさ君の冒険日誌」でも読むことができます。子供も大人も楽しめる名作。