ピンクのマンボウ君と呼びたい桜マンガン製の石笛は、北海道の女性から原石支給の依頼品。
基本的に頼まれた仕事は断らないから、今回のように名前も知らない石の加工相談で最初にすることは、ネットでモース硬度と有害物質の有無を調べて大丈夫なら原石を送ってもらう。
原石を観察したら深い石目が確認できたので、ここからからカットして原石の野趣を活かした石笛にしてはいかが?とメールして、了承を得てからスタート。
桜マンガンは腕の振るいようのある面白い石だ。
ピンク部分は糸魚川産のピンクヒスイ(ロディン岩)と結晶の入り方・色相・柔らかさもそっくりな石だから、おそらくは酸化したカルシウムではないか?
この部分はヒスイと同じ乾式研磨だと熱焼けして黄ばんでしまったので、湿式研磨をし直したら原石の状態より鮮やかなピンクにすることができた。
黒いマンガン部分は硬玉ヒスイの角閃石部分に似ているが、ピンク部分の流れで湿式研磨をしたらせっかくの荒々しい結晶がぼんやりしてしまい、ピンポイントで乾式研磨し直したらコントラストが付いてくれた。
ひとつの石で湿式と乾式を使い別ける離れ業が実に楽しいが、初心者の頃だと頭を抱えたに違いない。
試行錯誤しながら自分で解決法を見つけてきた積み重ねがノウハウになっているのだから、失敗は師匠であり工房は実験室でもある。
後日に依頼者が秋田真介さんの大麻飾りのお弟子ということがわかった。秋田さんからも黒曜石の加工相談を受けているところだ。
桜マンガンの雰囲気から、石笛の吹き孔を試験管状のKnobさん孔に仕立てたのだが、Knobさんとも友達とのことで喜んでいた。
ぬなかわヒスイ工房の顧客と友人の相関関係がわかったら、意外と世の中は狭いのかも知れない。
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