幕末の蝦夷地探検家、明治の好事家だった松浦武四郎の遺物「大首飾り」は、武四郎が蒐集した玉類243点をつないだ首飾り。
その複製品の製作を「松浦武四郎記念」依頼されて頭を抱えたのが、現在では入手困難な赤メノウの勾玉と、経年で壊れかけた滑石の勾玉26点をどうするのかという点だった。
赤メノウは古い文献を頼りに外国産を自分で染めることに成功して、滑石は壊れやすいので同じ蛇紋岩系の蛇紋岩を代替品としたがを使うことにしたら、全体が黒っぽい印象になったことが不満だった。
そこで令和の大改修では蛇紋岩の勾玉24点と管玉2点を、もっと明るい色相の石灰岩かロディン岩のどちらかに交換することにした。
石灰岩はヒスイ拾い初心者がヒスイと勘違いしやすい白い石で、セメントの原料になる。またロディン岩もヒスイ職人でも「マットな質感のヒスイ」として売る人もいるくらいに、ヒスイと間違えられやすい石材。
加工した時の印象はヒスイより蛇紋岩に近く、内部が透けてみえるようなヒスイの光沢とはちがい光沢が出ても表面的だから、あやしかったら比重測定をして確認をしている。
仕事熱心で誠実なヒスイ業者なら別物と分類しております、ハイ( ´艸`)
もっとも滑石とロディン岩はヒスイと同じく、地中奥深くから蛇紋岩に包まれて地表にあがってくるし、ロディン岩にもヒスイ輝石が含まれていることもあるので親戚みたいなもんだが、令和の大改修では滑石の代替品をどうするか?
これは石灰岩。直前まで実物の色合いに似た石灰岩を使おうと思っていたのだが、試みに研磨したら貝の化石が出てきたり、色味は茶系だしクラックが多すぎてあかんかった。
そこでロディン岩が再浮上した。勾玉に成形してバレル研磨機でエイジング加工したらいい感じ。きちんと実測図通りに作っておりますヨ。
実測図にもとづいて作っているので、製作ナンバーの順に木綿紐でつないでバレル研磨機で表面を荒らしてエイジング加工。
これを2年前の「平成の大首飾り」製作時に創意工夫して開発した触媒法で飴色に変色させることができたら文句ないのだが、今回はタンパク質の絹糸で繋ぐので慎重になっている。
2年前と同じ「寝ても覚めても大首飾り状態」になってきた。好きですなこんな感じ。
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