先日、鉄道と飛行機を乗り継いで、シンガポールからタイのバンコクまでマレー半島を北上してきました。その1ではクアラルンプールまでをご紹介します。
日程
4月17日:シンガポール →(列車)→ クアラルンプール
4月18日:クアラルンプール →(空路)→ ペナン
4月19日:ペナン → (フェリー) → バターワース →(夜行列車)…車中泊
4月20日:バンコク到着
朝7時にマレー鉄道のシンガポール駅へ。今回宿泊したタンジョンパガーのMホテルから徒歩10分の距離だったのだが、たかが10分だと高をくくって歩いて行ったのが失敗。暑さに弱い私は、朝から30℃近い赤道直下の気候に負けて、すでに汗だく。
左:シンガポール駅。シンガポール領内ながら、構内は一応マレーシアの管理下。インフラ飛び地というやつでしょう
右:広々とした駅のホール。大きな壁絵が印象的。一日数本しか発着しませんが、売店も両替所もあります。でも人が少なくてちょっと寂しい感じ。
左:出発客用ゲート。入り口で切符のチェックがあります。ちなみにチケットは駅でも購入できますが、私は事前にマレー鉄道のホームページからネット予約して購入しました。ネット予約には会員登録とクレジットカード(VISA or MASTER)が必要です。予約したら、指定された画面をプリントアウトして、それをゲート係員や車掌に見せればいいのです。予約時には画面上で座席指定もでき、実に簡単、楽ちん。詳しくはこちらで詳しく解説されています。
右:タイまで延々と続く線路の起点。ここから旅がはじまる
ホームの端っこにちょこっと設けられたマレーシア入国のパスポートコントロール。4列中左2列はマレーシアID保持者用で、右2列が各国パスポート保持者用。ここでキョロキョロしていると、係のおばさんがマレーシアの入出国カードをくれました。
まだシンガポールの出国手続きをしてないうちに、駅構内でマレーシアへの入国手続きをしてしまうということは、二重入国状態になってしまう…。ということで、ここではパスポート番号をマレーシア側の端末に読み取らせますが、スタンプは捺されません。なんて形式的なんでしょう。そのかわりイミグレ係官から「ここではパスポートにスタンプ捺さないから、出国時にはそこのイミグレで鉄道のチケットを提示してくれ」と言われました。それが入国の証拠になるわけです(まぁ出国時に端末でパスポート番号が出てくるはずですので、そんなに問題にならないかと思いますが、念のため)
なおこの窓口が開くのは出発の約15分前。結構ギリギリでした。
左:シンガポール午前7:45発 EKSPRES(急行)RAKYAT号(列車番号2)を牽引する機関車。定刻通りに発車。
右:1等車の車内。1等の割にはうす暗く、シート背面も薄汚れていたり、座席収納のテーブルも一部壊れていたりと、メンテがいまいちな感じ。でもシートピッチは広くてゆったり。ちなみにこの客車は1992年・韓国現代(ヒュンダイ)製。先月もどこかで現代製の客車に乗ったっけ…。あ!台湾の自強号(プッシュプルトレイン)だ。
1等の乗車率は5~6割程度(マレーシアに入ると8割ぐらいに増加)、客層は欧米の観光客と華人がそれぞれ半分ずつ、といった感じで、途中駅からマレー系がポツポツと乗車。わかりやすい経済力の構図。
一人旅の私はもちろん一人席(画面右側・進行方向だと左側)を予約時に確保。
出発後はのんびり走り、途中信号所で30分ほど交換待ちの停車の後、大して距離のないウッドランドチェックポイントまで40分以上かかった。
左:ここウッドランド・チェックポイントでシンガポールの出国手続き。ホーム先っちょにあるイミグレでパスポートをチェックするだけ。荷物の検査はないので、手荷物以外は車内に置きっぱなしでOK。
右:乗客全員の出国手続きが済むまで、イミグレ施設内の待合室で待機。それまでホームには出られない。
左:全員の出国手続きが済み、一斉にホームへ出て各自の車両へ向かう乗客たち。ホームは1線1面しかないので、他の列車の客、つまり出国客と入国客が混在することはない。
右:ジョホール海峡を渡ってマレーシアへ入国。平行する道路はシンガポールへ入国する車で大渋滞。
左:近代的な高層ビルが林立するシンガポールとは打って変わって、マレーシアに入ると俄然車窓が貧乏臭くなる。
右:ジョホールバルの街を抜けると、窓の外にはひたすらゴムの林が続く。はじめのうちは熱帯らしいその光景を食い入るように見ていたが、あまりに同じ風景ばかり続くので、やがて飽きてくる…。
左:1等車で配られる無料シートサービス。ミネラルウォーターとパサパサのパン。ブミプトラ政策ゆえ、イミグレ官吏はもちろん、運転士も車掌もシートサービスのあんちゃんも、係員はみんなマレー系。
右:列車のトイレ。意外と綺麗。マレーのトイレらしく、左側には洗浄用のホースが設置されている(マレー人は、用を足した後のお尻や局部をホースで洗浄する)。紙も用意されているので日本人も安心。
左:15:25、クアラルンプール・セントラル(KL Sentral)駅に到着。約20分の遅延。この程度の遅れならば、マレー鉄道にしてはまずまずの範囲内ではないでしょうか。
右:駅構内の案内表示は、マレー語や英語とともに日本語が表記されています。人口比率を考えたら中国語にしたほうがいいんじゃないかと思いますが、マハティール政権下の日本贔屓の影響なんでしょうか。あるいは駅(空港も)を設計した黒川紀章に敬意を表したものなんでしょうか。この時だって、周りを見渡しても、日本人と思しき人影は私以外に見当たりませんでしたが…。
左:駅構内はとても広く、ガラスが多用されているので全体的に明るい。そして人が多い。
右:マレー鉄道・KTMコミューターの自動改札。やけにカラフル
左:LRTの切符売り場及び改札前。自動券売機があるのだが、使い勝手が悪いのか、あるいは使用中止の機械が多いからか、客は皆有人窓口に並んでキップを買っている
右:LRTのクラナ・ジャヤ線。短い編成のかわいい列車。これに乗って今晩のホテルへ。
左:KLCC駅すぐそば且つツインタワーの目の前という立地で選んだホテルでしたが、フロントは私語ばっかりで客を30分以上待たせるは、愛想も悪いは、やっと部屋のカギを渡してくれたと思ったらその部屋にはすでに別の客がいたり、4台あるエレベータも(メンテのためか)1台しか使えずに待ち時間を浪費したり、シャワーからは黄土色のお湯が出てきたり(はじめだけではなく、ずぅっと)・・・など、散々でした。二度と行きません。そんな思いを込めて、画像にはモザイク処理をかけました。
右:気分を取り直し、LRTとモノレールを乗り継いで、KL随一の繁華街ブキッビンタンへ。KLの電車は乗換のたびに切符を買いなおさなければならないのが面倒。しかもモノレールは有人窓口しかなく、その数も各駅とも1~2程度。新しく整備されたインフラなんだから、もう少し機械化してもよさそうなもんですけど、これも雇用対策なのかしら。
左右とも:ブキッビンタンの様子。欧米人観光客の姿が目立ちました。スンガイワンプラザをウロウロして雑然とした雰囲気を味わった後、道路向かいの伊勢丹の地下にあるフードコートで夕食。ホッケンミー(福建麺)を食べました。マレーシアは華人社会とマレー人社会がはっきり分かれており、伊勢丹地下のフードコートは華人向けの店ばかりで、客層も華人によって占められていました。
左:ブキッビンタンの交差点からちょっと歩いたところにあるアロー通りの屋台街で、ちょこっとつまみ食い。ここも華人社会。
右:KLタワー。この時は雨が降ってきたので、どうせ登っても大した眺望は得られないだろうと判断し、外から見上げるだけにとどめました
左:ペトロナスツインタワー。452m・88階建て。とっても綺麗です。数年前まで世界一の高さを誇っていましたが、台湾101の完成によりその座を譲っています。片方を日本のハザマ組が、もう片方を韓国の三星(サムスン)が建造したそうですが、どっちがどっちだか知りません。
右:ツインタワー下にあるショッピングモール"スリアKLCC"。いかにも新興アジアの商業施設といった感じ。ブキッビンタンの各商業施設に比べて客層が良いように思います。ここに入っている紀伊国屋書店でポケットサイズの英和辞典を購入。
マレー半島 鉄道北上記 その2へつづく…
日程
4月17日:シンガポール →(列車)→ クアラルンプール
4月18日:クアラルンプール →(空路)→ ペナン
4月19日:ペナン → (フェリー) → バターワース →(夜行列車)…車中泊
4月20日:バンコク到着
朝7時にマレー鉄道のシンガポール駅へ。今回宿泊したタンジョンパガーのMホテルから徒歩10分の距離だったのだが、たかが10分だと高をくくって歩いて行ったのが失敗。暑さに弱い私は、朝から30℃近い赤道直下の気候に負けて、すでに汗だく。
左:シンガポール駅。シンガポール領内ながら、構内は一応マレーシアの管理下。インフラ飛び地というやつでしょう
右:広々とした駅のホール。大きな壁絵が印象的。一日数本しか発着しませんが、売店も両替所もあります。でも人が少なくてちょっと寂しい感じ。
左:出発客用ゲート。入り口で切符のチェックがあります。ちなみにチケットは駅でも購入できますが、私は事前にマレー鉄道のホームページからネット予約して購入しました。ネット予約には会員登録とクレジットカード(VISA or MASTER)が必要です。予約したら、指定された画面をプリントアウトして、それをゲート係員や車掌に見せればいいのです。予約時には画面上で座席指定もでき、実に簡単、楽ちん。詳しくはこちらで詳しく解説されています。
右:タイまで延々と続く線路の起点。ここから旅がはじまる
ホームの端っこにちょこっと設けられたマレーシア入国のパスポートコントロール。4列中左2列はマレーシアID保持者用で、右2列が各国パスポート保持者用。ここでキョロキョロしていると、係のおばさんがマレーシアの入出国カードをくれました。
まだシンガポールの出国手続きをしてないうちに、駅構内でマレーシアへの入国手続きをしてしまうということは、二重入国状態になってしまう…。ということで、ここではパスポート番号をマレーシア側の端末に読み取らせますが、スタンプは捺されません。なんて形式的なんでしょう。そのかわりイミグレ係官から「ここではパスポートにスタンプ捺さないから、出国時にはそこのイミグレで鉄道のチケットを提示してくれ」と言われました。それが入国の証拠になるわけです(まぁ出国時に端末でパスポート番号が出てくるはずですので、そんなに問題にならないかと思いますが、念のため)
なおこの窓口が開くのは出発の約15分前。結構ギリギリでした。
左:シンガポール午前7:45発 EKSPRES(急行)RAKYAT号(列車番号2)を牽引する機関車。定刻通りに発車。
右:1等車の車内。1等の割にはうす暗く、シート背面も薄汚れていたり、座席収納のテーブルも一部壊れていたりと、メンテがいまいちな感じ。でもシートピッチは広くてゆったり。ちなみにこの客車は1992年・韓国現代(ヒュンダイ)製。先月もどこかで現代製の客車に乗ったっけ…。あ!台湾の自強号(プッシュプルトレイン)だ。
1等の乗車率は5~6割程度(マレーシアに入ると8割ぐらいに増加)、客層は欧米の観光客と華人がそれぞれ半分ずつ、といった感じで、途中駅からマレー系がポツポツと乗車。わかりやすい経済力の構図。
一人旅の私はもちろん一人席(画面右側・進行方向だと左側)を予約時に確保。
出発後はのんびり走り、途中信号所で30分ほど交換待ちの停車の後、大して距離のないウッドランドチェックポイントまで40分以上かかった。
左:ここウッドランド・チェックポイントでシンガポールの出国手続き。ホーム先っちょにあるイミグレでパスポートをチェックするだけ。荷物の検査はないので、手荷物以外は車内に置きっぱなしでOK。
右:乗客全員の出国手続きが済むまで、イミグレ施設内の待合室で待機。それまでホームには出られない。
左:全員の出国手続きが済み、一斉にホームへ出て各自の車両へ向かう乗客たち。ホームは1線1面しかないので、他の列車の客、つまり出国客と入国客が混在することはない。
右:ジョホール海峡を渡ってマレーシアへ入国。平行する道路はシンガポールへ入国する車で大渋滞。
左:近代的な高層ビルが林立するシンガポールとは打って変わって、マレーシアに入ると俄然車窓が貧乏臭くなる。
右:ジョホールバルの街を抜けると、窓の外にはひたすらゴムの林が続く。はじめのうちは熱帯らしいその光景を食い入るように見ていたが、あまりに同じ風景ばかり続くので、やがて飽きてくる…。
左:1等車で配られる無料シートサービス。ミネラルウォーターとパサパサのパン。ブミプトラ政策ゆえ、イミグレ官吏はもちろん、運転士も車掌もシートサービスのあんちゃんも、係員はみんなマレー系。
右:列車のトイレ。意外と綺麗。マレーのトイレらしく、左側には洗浄用のホースが設置されている(マレー人は、用を足した後のお尻や局部をホースで洗浄する)。紙も用意されているので日本人も安心。
左:15:25、クアラルンプール・セントラル(KL Sentral)駅に到着。約20分の遅延。この程度の遅れならば、マレー鉄道にしてはまずまずの範囲内ではないでしょうか。
右:駅構内の案内表示は、マレー語や英語とともに日本語が表記されています。人口比率を考えたら中国語にしたほうがいいんじゃないかと思いますが、マハティール政権下の日本贔屓の影響なんでしょうか。あるいは駅(空港も)を設計した黒川紀章に敬意を表したものなんでしょうか。この時だって、周りを見渡しても、日本人と思しき人影は私以外に見当たりませんでしたが…。
左:駅構内はとても広く、ガラスが多用されているので全体的に明るい。そして人が多い。
右:マレー鉄道・KTMコミューターの自動改札。やけにカラフル
左:LRTの切符売り場及び改札前。自動券売機があるのだが、使い勝手が悪いのか、あるいは使用中止の機械が多いからか、客は皆有人窓口に並んでキップを買っている
右:LRTのクラナ・ジャヤ線。短い編成のかわいい列車。これに乗って今晩のホテルへ。
左:KLCC駅すぐそば且つツインタワーの目の前という立地で選んだホテルでしたが、フロントは私語ばっかりで客を30分以上待たせるは、愛想も悪いは、やっと部屋のカギを渡してくれたと思ったらその部屋にはすでに別の客がいたり、4台あるエレベータも(メンテのためか)1台しか使えずに待ち時間を浪費したり、シャワーからは黄土色のお湯が出てきたり(はじめだけではなく、ずぅっと)・・・など、散々でした。二度と行きません。そんな思いを込めて、画像にはモザイク処理をかけました。
右:気分を取り直し、LRTとモノレールを乗り継いで、KL随一の繁華街ブキッビンタンへ。KLの電車は乗換のたびに切符を買いなおさなければならないのが面倒。しかもモノレールは有人窓口しかなく、その数も各駅とも1~2程度。新しく整備されたインフラなんだから、もう少し機械化してもよさそうなもんですけど、これも雇用対策なのかしら。
左右とも:ブキッビンタンの様子。欧米人観光客の姿が目立ちました。スンガイワンプラザをウロウロして雑然とした雰囲気を味わった後、道路向かいの伊勢丹の地下にあるフードコートで夕食。ホッケンミー(福建麺)を食べました。マレーシアは華人社会とマレー人社会がはっきり分かれており、伊勢丹地下のフードコートは華人向けの店ばかりで、客層も華人によって占められていました。
左:ブキッビンタンの交差点からちょっと歩いたところにあるアロー通りの屋台街で、ちょこっとつまみ食い。ここも華人社会。
右:KLタワー。この時は雨が降ってきたので、どうせ登っても大した眺望は得られないだろうと判断し、外から見上げるだけにとどめました
左:ペトロナスツインタワー。452m・88階建て。とっても綺麗です。数年前まで世界一の高さを誇っていましたが、台湾101の完成によりその座を譲っています。片方を日本のハザマ組が、もう片方を韓国の三星(サムスン)が建造したそうですが、どっちがどっちだか知りません。
右:ツインタワー下にあるショッピングモール"スリアKLCC"。いかにも新興アジアの商業施設といった感じ。ブキッビンタンの各商業施設に比べて客層が良いように思います。ここに入っている紀伊国屋書店でポケットサイズの英和辞典を購入。
マレー半島 鉄道北上記 その2へつづく…