湯原温泉の温泉街をちょっとお散歩してみましょう。当地は旭川に沿って細長い温泉街を形成していますが、その河原には無料駐車場が整備されており、収容台数も多いので、ドライブの途中でちょっと立ち寄るにも便利ですね。
岡山県屈指の温泉地であるこの温泉街には約20軒の旅館が軒を連ねているんだそうでして、宿と宿の間を埋め合わせるように飲食店や土産物店なども店を構えていましたが、全国の温泉街と同じくこちらも斜陽の影が差しており、閉まりっぱなしのシャッターや廃墟となった旅館も所々で見受けられました。そんな中で燦然と存在感を放っていたのが、「千と千尋の神隠し」のモデルになったという老舗旅館「油屋」でして、その麗美な純和風建築の前を通ったときには、カメラを構えずにはいられませんでした。
「油屋」付近にある「薬師堂」の手水には、温泉が注がれていました。当地の豊富な湯量を誇示しているようでもあります。
メインストリートからちょっと離れると、昭和から時が止まっているかのような佇まいの食料品店を発見しました。地元客のみならず、自炊する湯治客も利用するのでしょうか?
民俗学が好きな私は「湯原温泉民俗資料館」を見学したかったのですが、残念ながら訪問時はお休みで、指を咥えて外観を眺める他ありませんでした。この温泉街には足湯があちこちに点在しており、この資料館前にも立派な足湯が設けられていました。
川原に戻ってきました。この川原にも足湯があるんですね。開放的な環境のもと、山の緑と旭川の流れを眺めながら浸かれる、なかなか魅力的な足湯であります。
川原の足湯の傍に、何やら怪しげなグリーンのテントを発見。
そのテントに提げられている札には「ここは会員制のお風呂です。会員以外の方はご遠慮下さい」と書かれています。ということは、このテント内は会員(おそらく地元住民)向けの共同浴場なんですね。
さすがに他所者の私は利用できませんが、テントの中を覗くとどなたもいらっしゃらなかったので、ちょっとだけ見学させていただきました。内部には大小に2分割されたコンクリ造りの立派な浴槽が据えられており、(画像には写っていませんが)脱衣スペースにはステンレス棚が用意されており、浴槽にはステンレスの手すりまで設置されていました。なかなか本格的なお風呂じゃありませんか。どうせならテントじゃなくてちゃんとした上屋を拵えれば良さそうなものですが、川原という場所柄、ビルト・アンド・スクラップが容易な構造の方が合理的なのかもしれませんね。またお風呂はひとつしかないため混浴ですが、気心知れたメンバーしか利用しないのでしょうから、男女を分けなくても問題ないのでしょうね。日没後に再度こちらへ訪れてみると、実際に中で入浴している方がいらっしゃいました。私が入れなかったのは残念ですが、温泉と地元の方の生活が密接に結びついている光景を目に出来ただけでも、私の温泉欲は十分に満たされました。
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