温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

人見温泉 神門コミュニティーセンター 

2024年02月07日 | 東京都・埼玉県・千葉県

(2023年9月訪問)
前回記事の「小糸川温泉」から小糸川を下って、東京湾岸に面する河口付近へとやってまいりました。この河口付近はかつて漁村だった面影を残す庶民的なエリアと海岸沿いの工業地帯が隣り合っている興味深い景色が広がっているのですが、この両エリアの境界を成すゾーンに位置している君津市の公営施設「神門コミュニティーセンター」には天然温泉の浴場があり、基本的には地元の方々に向けた準ジモ泉みたいな施設となっているのですが、市外の者でも入浴利用可能ですので、どんな温泉に入れるのか、行ってみることにしました。

昭和の後期に建てられた河川敷ゴルフコースのクラブハウスみたいな建物壁面には、独特の字体で"GODO C.C"と記されており、ゴルフ場銀座の房総という土地柄、「神門カントリークラブ」と読みたくなりますが、おそらくC.Cはコミュニティーセンターの頭文字なのかと思われます。

玄関を入って靴を脱ぎ、受付で入浴したい旨を申し出ますと、性別・氏名・住所・電話番号を台帳へ記入するよう求められました。なお地元の方々は自分の会員番号を台帳へ書くのみでOKのようですが、いずれにせよ台帳への記入が必要なんですね。公的施設ですから日別利用人数の報告が義務付けられているのかもしれませんね。


お風呂は受付ホールの左手奥です。男女別脱衣室の前にある小ホールには、いわゆる電位治療器の「ヘルストロン」が5台が置かれており、私が訪問した時には5台全てに爺さん婆さんが座って寛いでいました。何に効くのかわかりませんが、少なくともこのエリアにおいてヘルストロンという健康器具は圧倒的な支持を得ているようです。
ちなみに「神門コミュニティーセンター」は建物が古いためか、空調の設置されている部屋が限られており、私が利用した限りでは、玄関ホールや脱衣室にはエアコンが無く、このヘルストロンが置かれた小ホールのみ冷房が効いていました。ということは、健康器具の効能云々というより、単に涼んでいるだけなのかもしれませんね。
また小ホールの掲示には「ここはせんとではありません」と書かれており、つまり大衆に開かれているわけではなく、あくまで地元民向けなんだから、よそ者はそのあたりを考慮しろよ、ってことなのかもしれません。

「かもしれません」という表現が連続しちゃったところで、お風呂へ参りましょう。脱衣室は棚と洗面台だけという至ってシンプルな構造で、ロッカーやドライヤーなどの備品類はありません。
入館時の下足箱には溢れんばかりの靴が収められていたので、もしかしたらと覚悟しながら浴室に入ったら、案の定、訪問時のお風呂は大混雑しており、決して広くない浴室内に10人以上のお爺様たちが詰め込まれていました。人気があるお風呂なんですね。よそ者の私は精一杯身を縮めて、不審者ではありませんという姿勢を全面に押し出しながら、「失礼します」を連呼して洗い場にちょこんと座ったのでした。洗い場にはシャワーが3つ用意されているのですが、L字型に配置されているため、角の部分がちょっと狭くて正直なところ使いにくさは否めません。なお洗い場に石鹸類の備え付けはありません。予め持参しましょう。

窓に面して設置されている浴槽は長方形で6人サイズでしょうか。逆上せやすい泉質の為、湯船に浸かったお爺様たちは皆さん窓側の縁に腰かけて談笑していました。なお浴槽の右側には足場板が渡され、荷物置き場として使われていました。窓の外は塀が立ちはだかっているため景色は望めません。

湯船に張られたお湯は薄い紅茶みたいに赤みを帯びた透明で、非常にしょっぱく、迂闊に長湯すると確実に逆上せてしまうタイプの泉質です。なお分析表によればヨードもお湯にたくさん含まれているはずですが、窓が開けっ放しにされているためか、訪問時にはあまりヨード臭を感じることができませんでした。ネット上の情報によれば、冬など窓を締めきった状態だとヨード臭をかなり強く感じられるそうです。湯船に浸かるとはっきりとしたツルスベ浴感が肌に伝わりますが、パワフルに火照るため、上述したように長湯には要注意です。なお源泉温度が低いため加温されており、循環ろ過消毒も行われています。循環ろ過されているとはいえ、非常に濃いお湯であることには間違いなく、千葉県に湧く温泉や鉱泉のポテンシャルの高さを実感します。


お風呂上がりに、施設の周りを歩いてみました。
施設玄関の前に上画像のような源泉施設とガスセパレーターがあります。


この源泉施設を道路側から見てみますと・・・


排水口からオーバーフローが大量に排出されていました。その流路にはオレンジ色の付着物がこびりついており、お湯は無色透明で非常に塩辛く、お風呂ではあまり嗅ぎ取れなかったヨード臭もはっきりと確認できました。しかも排出口の温度は25℃を超えていましたので、源泉施設の貯湯タンクや源泉湧出時にはもう少し高い温度であると思われます。日本の温泉法では25℃以上が温泉で、それ未満は冷鉱泉となりますので、この鉱泉は温泉に該当しますね。この非加温のオーバーフロー源泉を全身で浴びてみたいものです。


人見温泉
含ヨウ素-ナトリウム-塩化物温泉 25.6℃ 溶存物質13.82g/kg 成分総計13.82g/kg
Na+:4962mg(93.47mval%), NH4+:56.1mg, Mg++:71.3mg, Ca++:45.2mg, Fe++:0.3mg,
Cl-:7665mg(94.35mval%), Br-:44.4mg, I-:23.6mg, HCO3-:713.0mg, CO3--:15.0mg,
H2SiO3:68.5mg, HBO2:7.8mg,
(平成27年8月28日)
加水無し
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
循環ろ過あり(衛生管理のため)
塩素消毒あり(衛生管理のため)

千葉県君津市人見1462-41
0439-87-1958
紹介サイト(君津市公式サイト内)

浴室利用12:00~16:00(受付時間11:45~15:30)
市外利用者300円
ロッカー・石鹸類・ドライヤーなし

私の好み:★★
コメント
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