温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

鍋石温泉 椿山の野湯

2009年02月21日 | 青森県

青森県の津軽地方は温泉の宝庫で、至る所に温泉の共同浴場を見つけることができ、温泉マニアにとっては垂涎の地であります。今回はそんな津軽の西の果てに湧く風変わりな温泉をご紹介します。

西津軽郡深浦町の人気観光施設「ウェスパ椿山」は文字通り、日本海へ瘤のように突き出た半島状の椿山の傍に立地しているのですが、この椿山の瘤の付け根にちょっとした野湯があります。





野湯といっても本当にそこで自然に湧いているのではなく、崖の上に立つウェスパ椿山「展望風呂」用の源泉井戸が海岸にあり、そこから溢れ出た熱湯がそのまま海へ流れ、海水と混じって程よい湯加減になっているものです。湧出量に対して使用量が少ないために余った分が捨てられているのだと思われますが、鉄分を含んだ大量の新鮮且つ透明な熱湯が源泉井のパイプからドバドバと吐き出され、温泉の注がれた海はその成分のために辺りが赤く染まっているほどです。



↑このように源泉井の近くではふつふつと自噴しているお湯もあります。

お湯を口に含むと塩辛さと苦汁の味、そして金気が充満して成分の濃さを実感します。
浴槽はないので石ころを集めて自分で浴槽を作ってください。もしくは先人がこさえた湯船をそのまま使ってしまいましょう。お湯はそのままだと大変熱いので、海水とブレンドさせるとちょうどよい湯加減になります。

五能線は本数が少ないので、鉄道旅行向きではないかもしれませんが、もし車でお近くまで来た際は寄ってみるのも一興かと思われます。ただし季節は限られますが…(そして夏の盛りになると夥しい数のフナムシが湧きますが…)

含鉄(2)-ナトリウム塩化物強塩泉 50.9℃
(データは崖の上の展望風呂のもの)

五能線・ウェスパ椿山駅 徒歩約15分
(駅を出たら海に向かって歩き、途中に立つ椿山への道標に従って進む)
青森県西津軽郡深浦町舮作鍋石 地図

私の好み:★★★


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黒薙温泉 黒薙温泉旅館

2009年02月19日 | 富山県

黒部峡谷鉄道で宇奈月から一つ目の黒薙駅で降り、駅員さんに一声かけてから(※)本線から分岐する支線のトロッコ軌道のトンネルを約10分ほどてくてく歩くと、いきなり目の前に現れるのがこの黒薙温泉旅館。


【現在この「トンネルは通行できません。山道を歩いてください】

旅館で500円を払って渓谷沿いを進むと、視界が開けた清流の川原に露天風呂が設けられいます。傍らに立てられたテントで着替えを済ませていざ入浴。
無色透明でほんのり焦げたタマゴの匂いがするお湯が、広くて豪快な湯船へ贅沢に注ぎ込まれており、大自然に囲まれて何とも言えない幸福感が味わえます。


黒薙温泉は毎分2000リットルという豊富な湧出量を誇り、ここではそのごく一部しか使われません。その多くが麓の宇奈月温泉へ運ばれる。つまり宇奈月の源泉がここ黒薙なのです。露天風呂の傍にはその源泉があって、もうもうと湯煙を上げています。

(※)この支線では工事用の列車がたまに運行されるので、安全のため駅員さんに一言断ってからトンネルを歩くようにしてください。
(注意)夏になると地元ではオロロと呼ばれるアブが発生し、これに刺されるととっても痛いのでご注意を。私が入浴したときもアブに囲まれ辟易しました。

アルカリ性単純泉 97.2℃

黒部峡谷鉄道・黒薙駅 徒歩約10分(トンネル経由の場合。山道経由は約20分)
富山県黒部市宇奈月町黒薙
0765-62-1820
9:00~16:00 無休(4月下旬~11月23日頃・冬季閉鎖)
500円

私の好み:★★★
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稲取温泉 寿湯 

2009年02月17日 | 静岡県
※残念ながら2012年3月に閉鎖されました。



どういうわけかインターネット上でこの寿湯を取り上げているサイトは少ないようで、Googleで「稲取 寿湯」と検索しても265件しかヒットせず、その多くは寿湯とあまり関係のないページが出てきてしまいます。それならば私が一筋の光明を照らしてみてもよいのではないかと思って、今回取り上げてみました。

駅前から伸びる道を東進して信号で右折し南下、稲取の商店街を歩き、駿河銀行まで来たら手前の路地を右に入れば見つけられるはずです。わかりにくいので車だと通り過ぎてしまいがちですが、徒歩ならばその心配は無用。

奥まった場所の古めかしい建物の1階に共同浴場があります。内部も昔の銭湯の佇まいで懐かしさがこみあげてきます。そして浴室には三保の松原と思しき(ここは伊豆ですが)富士山のタイル画があったりして余計に懐古感が味わえます。浴槽は縦に長細く3~4人入ればいっぱいになってしまう小さめのものです。

お湯は伊豆の海岸地らしく苦汁(にがり)の味が混じった塩味のする無色透明無臭のもので、カランから出るお湯も温泉でした。海沿いの食塩泉ですが、それほど塩辛いとは感じられず、湯上りはさっぱり感があって且つ食塩泉ならではの湯冷めしにくい性質もあり、気分よく体を温めることができました。

曇っていて見にくい画像で恐縮です

ナトリウム・カルシウム-塩化物泉 84.0℃ pH8.23 成分総計5.397g/kg

伊豆急行線・伊豆稲取駅 徒歩15分弱(約1.1km)
静岡県賀茂郡東伊豆町稲取653-3 地図
0557-95-2439
15:00~22:00 5日・20日休業
340円

私の好み:★★
コメント (2)
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平治温泉

2009年02月14日 | 群馬県


万座・鹿沢口駅近く、国道144号(長野街道)からちょっと吾妻川側に入ったところにある、一見しただけでは農機具を収める納屋のような温泉小屋です。本来は自家用の温泉なのですが、料金を支払うことにより外来客も入れるようになっています。受付なんてありませんから、自分できちんと料金箱に200円を入れてください。



脱衣場も浴槽も、いかにも自分で作りましたと言わんばかりの簡素な木製のもので、ややもすれば傾いてしまいそうですが、見かけによらず人気のようで、私が訪問した土曜の夕方には先客2人が湯あみしていました。その人気の秘訣はやはりお湯でしょう。



鉄のパイプから浴槽へ次々に源泉が注がれ、浴槽の縁からは万遍なくお湯が溢れ出ています。無色透明ながら沢山の気泡によって濁っているように見え、鉄味と微かな塩味と微かな出汁のような味が混じりあい、鉄のような匂いが立ちのぼってきます。肌には沢山の炭酸気泡が付着し、このお湯が如何に新鮮であるかを証明してくれます。ややぬるめなので、泡に包まれてのんびり長湯することができます。
外見からは想像もつかない上品なお湯。なるほど地元の方も通いたくなるはずです。

ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩・炭酸水素塩泉
詳細不明

JR吾妻線・万座鹿沢口駅 徒歩10分(約900m)
群馬県吾妻郡嬬恋村西窪 地図

200円
開業時間不明(午前中は閉まっていることがあるようです)

私の好み:★★★
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湯田川温泉 正面湯

2009年02月12日 | 山形県


山形県にあって独特の文化を育んでいる庄内地方。その庄内の歴史ある名湯が湯田川温泉です。開湯は今から1300年前と言われており、江戸時代は庄内藩主の湯治場となっていました。

今回紹介する「正面湯」は温泉街のほぼ中心に位置しています。黒光りする甍が立派な日本建築ですが、入り口のドアはカードキーがないと開錠されませんので、斜め前の船見商店で料金を支払って、店の方にカードキーで直接ドアを開けてもらいましょう。

内部は浴槽が一つのシンプルな造りですが、お湯が頗る良好。とても綺麗で澄み切った無色透明、ほんのり硫黄臭が漂います。湯船に浸かるとお湯なのにサラサラフワフワとした感覚が感じられます。また湯田川温泉は大量のかけ流しを自慢にしており、それを実証するかのようにザブザブとお湯があふれ出ています。湯上りもさっぱり爽快。まさに極上の湯。この温泉が重ねてきた歴史は伊達じゃありません。

ナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉
43.2℃ pH8.4 1000L/min 蒸発残留物1200mg

JR羽越本線・鶴岡駅から庄内交通バスで約30分
庄内交通ホームページ
湯田川温泉観光協会公式サイト

8:00~9:00 11:00~19:00
(9:00~11:00は清掃のため入浴不可)
200円
斜め前の船見商店で支払い、店の方にカードキーでドアを開けてもらう


私の好み:★★★

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