温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯瀬温泉 六助旅館

2015年05月20日 | 秋田県
 
秋田県鹿角市の東部に位置する湯瀬温泉には、渓谷に沿った狭い路地に昔ながらの湯治宿風情を色濃く残す一角がありますが、今回はその路地に面している「六助旅館」で日帰り入浴してまいりました。冒頭から余談で恐縮ですが、この旅館の左隣には何やら怪しげな小屋があり、一見すると倉庫のようでもありますが、屋根や妙に傾斜しており、路地に突き出た塩ビ管からお湯が出ているので、その小屋はどうやら地元民専用の浴場のようです。



私が訪問した時には女将さんがいらっしゃったので、入浴をお願いして料金を直接支払いました。建物はかなり年季が入っており、女将さんも人生を相当重ねていらっしゃるようですが、斜陽感を払拭するかのように明るく朗らかに対応してくださいました。なお帳場のカウンターには角盆が置かれていますので、入浴利用の際、誰もいなければここへ湯銭を置いて入館しても良いようです。帳場の中を覗くと、骨董品クラスの内線電話機が置かれていました。これって現役なのかな。


 
深く切り立った湯瀬渓谷の谷底に玄関があり、傾斜に沿って建てられているため、宿は上へ上へと階層的な構造になっているんですね。いかにも古い日本建築らしく急な階段を登って、浴室がある3階へと上がります。途中2階でたくさん陳列されている食器類を発見。


 
「どうぞ御自由にお持ち下さいませ。おひとりおいくつでもけっこうです」とのこと。ラインナップは、小皿、湯のみ、ガラスカップ、灰皿等の他、文庫本、そしてなぜかオジサン向けの靴下も並べられていました。靴下はともかく、他はいままで旅館で使っていたものなのかも。実際に持って帰る人はいるのかな。


 
階段を3階へ上がりきったところには、「月見の間」と称する客室が休憩室として開放されていました。室内は50年ちかく時計の針が止まっているかのような、とってもレトロな趣き。褒め言葉になっていませんが、良い塩梅にくすんで色褪せており、小津安二郎映画の世界がタイムスリップして21世紀の湯瀬温泉に登場したかのような光景を目にして、思わず息を呑んでしまいました。


 
廊下の突き当たりが男女別の浴室。男湯は廊下と同じレベルですが、どうやら女湯はここから階段を下った先にあるようです。傾斜地に沿った土地ですから、まるでスーパーマリオのように、階層を上下しながら移動するんですね。お年寄りの体にはちょっと堪えるかもしれませんが、普段から運動不足の方には程よいカロリー消費になりそうです。
まるで共同浴場のように質素な造りの脱衣室には、棚と古いカウチがあるばかり。流し台などはありません。タオルが掛けられたカウチが余計に哀愁を漂わせています。壁の張り紙では「おフロにでているお湯はとめないで下さい!」と注意喚起されていました。湯量を絞っちゃうとぬるくなりやすいのかな。



お風呂は内湯のみで、まん丸い浴槽が印象的。何も使われていないデッドスペースが妙に広くて、少々寒々しい気もします。大雑把に室内を表現しますと、室内の下半分はタイル貼りで、上半分はモルタルの上に白い塗装が施されているのですが、その塗装部分(壁や天井など)は経年劣化なのかシミが目立っており、壁や床のタイルも目地の黒ずみ等が目についてしまいました。ちょっとお疲れのご様子…。


 
壁に取り付けられたカランは計3基で、うち2基はシャワー付き。お湯のハンドルを回したところ、激熱のお湯が吐出されたのですが、明瞭なタマゴ臭とタマゴ味が感じられたので、間違いなく温泉のお湯が引かれているのでしょう。このようにちゃんとしたシャワーがあるのに、なぜか常連のお客さんはカランを使わず、みなさん湯船に縁に座り込み、桶で湯船のお湯を汲んでいらっしゃいました。シャワーなんて使わないのがこちらの流儀なのかも。


 
桶や腰掛けなどの入浴用具がきちっと整頓されており、入浴客も使用後はきちっと片付けていましたので、こちらの常連さんにはマナーが確立されているようでした。ユニークなのがシャンプー等の入ったボトルでして、ガムテープを貼った上からマジックで「ボディー用」「かみ」と手書きされているんです。とっても家庭的で、良い味出てます。



丸い浴槽は直径3mほどで、おおよそ4~5人サイズ。槽内は白いタイル貼りで、縁の切り欠けからお湯が溢れ出ていました。浴槽は真円形ではなく、部屋の形状に合わせて窓側の2方向が直線状にカットされているのですが、おそらく地形に合わせているのでしょう。お湯は無色透明で、本来はクリアに澄んでいるものと思われますが、夕方の多客時だったためにお湯が幾分鈍っており、洗い場から見てもわかるほどの濁りが発生していました。湯中をよく見ますと細かな黒いものが浮遊していたので、これが濁りをもたらす一因と推測されるのですが、この浮遊物はどうやら湯の華とは違うらしい…。底がヌメっており、タイルの目地も黒ずんでいたので、おそらく(以下省略)。女将さんが一人でメンテしているのかな。ちょっとマンパワーが足りていないようです。


 
湯船のお湯は専用の水栓から注がれており、私の入室時は蛇口の先にホースがつながっていたのですが、後からやってきたお客さんは、掛け湯を終えて湯船に浸かると、おもむろにそのホースを抜いてしまいました。脱衣室の張り紙にはお湯を止めないで欲しい旨がアナウンスされていましたが、ホースを抜くなとは書いていませんから、特に問題は無いのでしょう。でも、ホースが有ると無いとで入浴に際して何か劇的な違いでもあるのかな。
そのお客さんがホースを抜いてくれたおかげで、水栓の先っちょに白い温泉成分がビッシリこびりついていたことがわかりました。分析表の数値から考えるとあまり析出は現れそうにありませんが、長い年月ホースを被せることによって、こうした付着ができあがるのですね。湯瀬温泉は美人の湯と言われていますが、湯船に浸かると癖が少なく優しいフィーリングが得られ、美人の湯という名に相応しいスルスルとした滑らかな浴感が肌を走りました。でも正直なところ、湯船よりもシャワーの方が鮮度感が良くて知覚もハッキリしていました。今回は訪れたタイミングが良くなかったのかもしれません。

地元の方から銭湯代わりとして使われているのか、私が訪問した夕方には、手に桶を持った爺さん婆さんが次々にこちらを訪れ、その日の汗を流していらっしゃいました。地元から愛されているお風呂なんですね。


アルカリ性単純硫黄温泉(硫化水素型) 64.7℃ pH8.9 自然湧出 溶存物質615.7mg/kg 成分総計615.7mg/kg
Na+:149.2mg(81.53mval%), Ca++:27.0mg(16.96mval%),
Cl-:28.7mg(10.09mval%), HS-:2.4mg, SO4--:310.4mg(80.45mval%), HCO3-:6.2mg, CO3--:15.6mg,
H2SiO3:70.3mg,
(平成19年8月26日)

JR花輪線・湯瀬温泉駅より徒歩3~4分(約300m)
秋田県鹿角市八幡平湯瀬湯端37  地図
0186-33-2324

日帰り入浴時間不明
入浴300円
シャンプー類あり

私の好み:★★
コメント (2)
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志張温泉元湯 2014年10月再訪

2015年05月18日 | 秋田県
 
昨年(2014年)の10月に秋田八幡平の焼山を登り、紅葉と野湯をいっぺんに楽しんで八幡平の大自然を満喫したのですが(※1)、山登りの汗を流すべく、下山後に「志張温泉元湯」へ立ち寄って、日帰り入浴致しました。こちらの一軒宿は数年前に一旦閉館したのですが、地元の方によって2011年6月に復活を遂げており、私は復活した年の秋に一度宿泊しております(※2)。従いまして今回は3年ぶりの再訪です。
(※1)各記事へのリンクは右の通り。「紅葉と野湯の秋田焼山 2014年10月 前編後編「秋田焼山 湯の沢の野湯(硫黄取りの湯)」
(※2)当時の記事はこちら



前回の訪問時にオーナーさんから伺った話によれば、(上画像に写っている)我が愛車の右前輪下に敷かれている鉄板の下に、ここの源泉があるはずです。


 
受付にいらっしゃったオーナーさんに湯銭を支払い館内へ。右へ折れて廊下をまっすぐ進んだ突き当たりが浴室です。山中の一軒宿とは思えない、とっても綺麗でぬくもりにあふれた館内です。お風呂は男女別の内湯が1室ずつ。3年前に宿泊した時には、手前が男湯で奥が女湯だったのですが、この日は男女が入れ替わっており、奥の浴室に男湯の暖簾が掛かっていました。


 
まるでログハウスにいるかのような、とってもウッディーな脱衣室。清掃が行き届いており、快適な状態が維持されています。オーナーさんの温泉愛が伝わってきます。


 
上述のように3年前に宿泊した際には手前側浴室が男湯でしたが、今回利用させていただいた奥の浴室は、基本的な造りや雰囲気こそ手前側とほぼ同じものの、室内空間はそれより一回り大きく、3方向に窓があるため、こちらの方が明るさや開放感で優っているように思われます。床に張られているヒバ板は、お湯に洗われて程よい感じに年季を重ね、いぶし銀の味わいを醸し出しています。手前・奥の両浴室とも渓流に面しており、ガラス窓には清らかなせせらぎや山々の緑が美しく映えていました。



上流側の窓には露天風呂の遺構が間近に迫っていました。復活してから現在に至るまで、この露天風呂は使用されていないようですね。マンパワーに限りの有る家族経営のお宿ですから、下手に露天を再開させたら内湯や客室などのメンテに手が回らなくなる可能性がありますし、そもそも渓流沿いという立地でゆえ、夏場は間違いなくアブの猛襲に見舞われますから、現状のように内湯だけで営業を続ける方が賢明であるというご判断なのでしょう。


 
川側の壁にはシャワー付きカランが5基並んでおり、カランから出てくるお湯はおそらく源泉かと思われます。


 
温泉風情たっぷりの総ヒノキ造り浴槽は、おおよそ5m×2mの長方形で、7人前後は同時に入れそうな容量です。湯尻の湯面には塩ビ(VU)管が突き出ており、湯船を満たしたお湯はここから排湯されていきます。下手にオーバーフローさせたままですと、床のヒバ板が早く傷むのでしょうから、このような措置が採られているものと推測します(あくまで素人の推測に過ぎませんよ)。

加工された塩ビ管によって斜めに吐出している湯口からは、無色透明で非常にクリアなお湯が絶え間なく注がれています。「源泉100% かけ流し 温度~41℃~」と記されていますが、私の体にはそれより1~2℃高いように感じられました。温泉は自然のものですから、タイミングによって温度が上下するのはごくごく当たり前なことであります。湯口に置かれたコップで飲泉してみますと、無味無臭で癖が全くなく、実に円やかな口当たりです。湯船に肩まで体を沈めますと、あたかも羽毛に包まれているかのような、ふわっと軽やかでエアリーな浴感に包まれ、瞑目するとたちまち微睡みの世界に導かれてしまいました。スルスルと滑らかでやさしい浴感もこの志張の特徴。お湯の鮮度も文句なし。一度湯船に入ると、あまりの優しさと気持ち良さに後ろ髪を引かれて出られなり、すっかり虜になってしまいました。

温泉はどうしても個性的で主張の強いお湯が好まれる傾向にありますが、この志張温泉のように完全掛け流しで、かつ軽やかでアッサリしているお湯は、温泉の持つ癒やしや安らぎといった効果を存分に享受することができ、おそらく肌の弱い方や湯あたりしやすい方でも、安心して湯浴みを楽しむことができるのではないかと思います。薄いお湯ほど湯使いによってコンディションに差が生まれますが、そういう意味でこちらは極上のお湯ではないでしょうか。癖のないお湯ほど、湯浴み客が癖になってしまうという、不思議な法則を教えてくれる素敵なお風呂でした。


志張E泉・B泉
アルカリ性単純温泉 44.4℃ pH8.5 溶存物質389.3mg/kg 成分総計389.3mg/kg
Na+90.5mg,
Cl-:46.1mg, SO4--:46.1mg, HCO3-:99.3mg,
H2SiO3:54.7mg, HBO2:39.8mg,
加水加温循環消毒なし

秋田県鹿角市八幡平字切留平2-4  地図
0186-25-8188
ホームページ

入浴のみ9:00~18:00(※前回記事から変更されています)
入浴400円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (2)
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花輪温泉 ゆたろう

2015年05月16日 | 秋田県
 
鹿角市花輪の街外れ、米代川の川沿いにある花輪温泉「ゆたろう」でひとっ風呂浴びてまいりました。私が訪れたのは閉館1時間前の夜8時でしたが、駐車場には多くの車が停まっており、人気の高さが窺えます。日帰り入浴専門の温泉入浴施設なのですが、暗い中で見た印象ですから自信を持って言えませんが、外観は温泉というよりも病院や公共機関を想像させるような、無機的で没個性なファサードです。駐車場に面して出っ張っている部分は、大きく緩やかな曲線を描いていますが、これが却って当世のお役所や第三セクターみたいな印象を高めているようにも思えます。



とっても広い駐車場の一角にはコイン洗車場が設けられていました。お風呂で自分の汗を流すだけじゃなく、愛車の泥も落としてあげようよ、ってことなのでしょうね。ちなみに私が訪れたのは10月上旬。後述する館内ではNHKラジオの巨人戦中継が流されていたのですが、どういう訳かこの広大な駐車場にも、屋外スピーカーからラジオ中継が響いていました。花輪の人って野球好きが多いのかな。


 
入館後に券売機で料金を支払い、受付に券を差し出します。駐車場へ突き出ていた丸い部分は、フローリングの広間となっており、その一部は子供用の遊具が用意されていました。また、奥には休憩用の小上がりもあり、この時はお風呂あがりのお客さんがテレビで野球中継を熱心に観戦なさっていました。館内放送から流れるラジオも、小上がりのテレビも、徹底して巨人戦なのです。やっぱり花輪の方はジャイアンツ贔屓が多いのかも。


 
脱衣室もフローリング。清掃がよく行き届いて清潔感が漲っており、かつ広々しているので、ストレスを覚えること無く、とっても気持ち良く使うことができました。また、天井でシーリングファンがグルグル回っている他、扇風機も用意されているので、湯上がり後のクールダウン対策もぬかりありません。後述するようにこちらのお湯はかなり火照るので、こうした冷却グッズがあると大助かりです。


 
浴室はほぼ全面タイル貼り。入ってすぐ目の前にある2段構造の掛け湯が、入浴客を出迎えています。浴室の天井を支える柱の向こう側(裏側)では、15人近く同時に入れそうなゆとりの容量を有する主浴槽がクリアなお湯を湛えていました。画面には写っていませんが、左側にはサウナがあり、主浴槽には誰もいなくても、サウナには必ず一人以上の利用客がおり、みなさんじっと瞑目しながら汗を流していらっしゃいました。津々浦々の入浴施設にとって、サウナは集客に欠かせない重要なファクターですね。


 
主浴槽のお湯は柱の裏側にある掛け湯からが注ぎ込まれており、お湯が滴り落ちる側面は黄土色に染まっていました。湯加減は万人にやさしい41~2℃で、掛け湯の温度から推測するに、けだし加水されているのかもしれませんが、放流式の湯使いであることは疑いようもなく、縁からしっかり溢れ出ていました。お湯は無色透明で、弱い芒硝味と僅かな塩味を有し、湯面からはほのかに芒硝の香りが漂ってきます。湯温は適温なのですが、硫酸塩の影響なのか、入りしなにはピリッとした刺激が肌を走りました。無色透明で一見すると癖の無いようですが、さすが硫酸塩泉だけあって、入浴すると内に秘めたるパワーが発揮され、ただならない曲者であることを実感させてくれます。


 
壁に沿ってシャワー付きカランが計15基、L字形に配置されています。カランから出てくるお湯はおそらく源泉のお湯ではないでしょうか。


 
お湯が出る洗い場の混合水栓の他、脱衣室から見て左側の壁際には、水風呂と並んで水だけが出る単水栓のシャワーが2基設けられており、水風呂も水シャワーもサウナのお客さん向けの設備なのでしょう。一方、その反対側(脱衣室から見て右側)にはデッキ・チェアが置かれていて、他のお客さんと干渉せず、のびのびと休むことができました。広い室内空間を活かし、入浴施設として気持ち良く使えるいろんな設備が用意されているんですね。


 
設備面だけではなく、お湯も良いのがこの「ゆたろう」の素晴らしいところ。就中、お湯のフレッシュ感もフィーリングも出色だったのが、ちょっと目立たない場所にある「ひのきの湯」でした。裏庭と思しき屋外に面してガラス窓になっている小部屋で、壁や浴槽の縁に白木のヒノキ材が用いられており、床や浴槽は十和田石敷き。お湯の投入量は主浴槽よりはるかに多く、それでいて湯口から直接注がれているためか、浴槽の温度はかなり熱く、体感で44~5℃はありました。この熱さを常連さんはご存知なのか、あるいはここだけ別室のような造りになって目立ちにくい存在だからか、主浴槽やサウナは賑わっていても、この「ひのき風呂」には誰も入ろうとせず、この時は私が終始独占できてしまいました。
この浴槽ではピリピリ感がとりわけ強く、もちろん熱さゆえの刺激もあるのですが、無色透明な硫酸塩泉ならでは影響も相当効いているのではないかと思います。スルスベの中に引っかかりが混じる浴感も、いかにも硫酸塩泉っぽいフィーリング。熱いので体がすぐに逆上せてしまうのですが、フレッシュ感が抜群なので、お湯から離れるのが躊躇われ、前後不覚のフラフラ状態になっても入り続けていたくなるほど、素晴らしい浴感でした。
地味でお役所感の強そうな外観を目にした刹那は、広くて清潔感のある浴室や、クオリティの高い掛け流しの温泉に出会えることを、あまり期待していなかったのですが、この「ゆたろう」の利用を通じて、人も温泉も、外見だけで判断してはいけないことを再認識致しました。鹿角エリアにまたまたマイ・フェイバリットの温泉を見つけることができて、とっても幸せ。


ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉 57.3℃ pH8.5 270L/min(動力揚湯) 溶存物質1.42g/kg 成分総計1.47g/kg
Na+:366.4mg(79.98mval%), Ca++:77.4mg(19.37mval%),
F+:0.5mg, Cl-:243.5mg(32.71mval%), HS-:0.3mg, SO4--:646.4mg(64.10mval%), CO3--:6.0mg,
H2SiO3:45.7mg, CO2:55.0mg,
加水あり(源泉57℃のため)、加温循環消毒なし

花輪線・鹿角花輪駅より徒歩10分強(約1km)
秋田県鹿角市花輪字大川添55番地1  地図
0186-22-1118
ホームページ

5:30~21:00(大晦日のみ18:00まで) 休館日は公式HPでご確認を。
400円
ロッカー有料(100円)・ドライヤーあり、入浴道具販売あり

私の好み:★★★
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十和田大湯温泉 いずみの湯

2015年05月14日 | 秋田県
 
 
引き続いて十和田大湯温泉を取り上げます。前回記事で立ち寄り入浴したお宿「花海館」のほぼ辻向いに位置している公衆浴場「いずみの湯」にも、今回立ち寄ってみることにしました。温泉街の中ほどにある上の湯交差点の角には、ドライバーの目を引く大きな看板が立っており、以前からここを通る度に気になっていました。看板に描かれているイラストはおそらくサルなんでしょうけど、ほとんどゴリラのような気もします。この看板から斜めに入るアプローチの先に湯屋があり、駐車場も完備されていました。
建物の駐車場サイドには大きなガラス窓が用いられており、公衆浴場というよりカフェやレストランといった様相です。日中はさぞ明るいことでしょうね。番台で直接料金を支払って中へ入ると、ガラス窓の内側はラウンジになっており、湯上がり後のお客さん達が談笑していらっしゃいました。このラウンジまわりには自販機の他、ロッカーも設置されていました。


 
一見すると全国どこにでもありそうな、ごくごく普通の脱衣室。公衆浴場にしてはやや狭く、中小規模旅館のような印象を受けるのですが、そんな室内にあってカラフルなプラ籠がひと際目立っています。一つ一つの籠にはナンバリングされているのですが、それぞれに鍵付きの引き出しが付帯しているのが、他の浴場では見られないユニークな点。ちょっとした貴重品(車の鍵や腕時計)でしたらこれで十分ですね。合理的な構造に感心してしまいました。


 
浴室は窓を除いて全面タイル張りの実用的かつ無機的な造りですが、天井がとても高く、また番台前のラウンジのように大きなガラス窓が印象的であり、屋内であることを一瞬忘れそうになるほど開放的です。明るい時間帯でしたら窓からたっぷりの陽射しが差し込むことでしょう。壁に沿ってL字形に配置されている洗い場には計10基のカランが並んでおり、うち半分はシャワー付きで、シャワー付きと無しが交互に配列されていました。カランから出てくるお湯は温泉かと思われます。


 
 
大きな窓の下に据えられている浴槽は、縦長の台形のような形状をしており、最大寸法は約4m×5mで、おおよそ5~6人サイズ。槽内には壁や床と同じ色のタイルが貼られていますが、縁には赤い御影石が用いられており、無機的な室内では、挿し色としてよく映えていました。この縁の上をお湯がしっかり溢れ出ており、放流式の湯使いであることがわかります。
壁から3本の水栓が突き出ており、左右両側は水、そして真ん中はお湯です。左の水栓は止められていましたが、先に布が巻かれている右側の水栓からは冷水が出ていました。一方、真ん中の水栓にはホースが接続されていて、その先からはびっくりするほど激熱の温泉が吐出されていました。表示によれば源泉温度70℃以上のお湯をそのまま投入しているんだそうでして、温泉たまごを茹でるにはもってこいな温度ですが、当然ながらこのままですと人間様は入浴できませんから、加水による温度調整を行っており、それゆえ壁には「水(袋付き)の蛇口は閉めないで下さい」と注意書きが貼られていました。またこれらの蛇口の上にはかき混ぜ棒も用意されていますので、普段から相当熱いお湯であることがわかります。実際に私が入ったところ、体感で44~45℃という熱めの湯加減で、他のお客さんも熱さに体を慣らしながらゆっくり湯船に浸かっており、長湯する方はいらっしゃらず、お客さんの回転(入れ替わり)はかなり早いようでした。


 
激熱のお湯が出てくる蛇口をクローズアップしてみました。水栓には白い温泉成分が付着していますね。
見た目は無色透明、甘塩味と石膏味がほんのり感じられますが、いずれもかなり薄く、ほとんど無味無臭と表現しても差し支えないほどでした。また分析表によれば、知覚的特徴として「わずかに硫化水素臭」という記載があり、いわゆる硫黄臭(味)をもたらすチオ硫酸イオンが0.5mg含まれているのですが、少なくとも私の入浴時にはそれらしきものは全く確認できませんでした。浴室における知覚的特徴が薄かったのは、加水の影響になのか、貯湯および配湯の段階で弱まっちゃうのか、はたまたそもそも主張の薄い源泉なのか、その辺りの事情はよくわかりません。でも、毎日の汗を流すお風呂としては、このような癖の少ないお湯の方が使い勝手は良いでしょうから、むしろ公衆浴場に向いている泉質と言えそうです。
ピリッとした熱いお湯は、私の弛みきった身や心を、キュッと引き締めてくれました。放流式の温泉をリーズナブルな湯銭で楽しめる、大湯温泉らしい浴場でした。


ナトリウム-塩化物温泉 70.9℃ pH8.1 自然湧出 溶存物質1511.6mg/kg 成分総計1517.5mg/kg
Na+:428.2mg(83.39mval%), Ca++:64.1mg(14.32mval%),
Cl-:693.3mg(86.82mval%), S2O3--:0.5mg, SO4--:98.0mg(9.05mval%), HCO3-:48.9mg,
H2SiO3:92.3mg, HBO2:66.1mg,

秋田県鹿角市十和田大湯字上の湯  地図
0186-37-2140

7:00~21:00 火曜定休
250円
ロッカーあり、他備品類なし(入浴道具の販売あり)

私の好み:★★




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十和田大湯温泉 花海館

2015年05月12日 | 秋田県
 
 
昨年(2014年)秋の某日、十和田大湯温泉の「花海館」で立ち寄り入浴致しました。上の湯十字路付近にあり、国道103号を走っていると看板が必ず目に入ってくるので、一度訪れてみたかったのでした。私が訪れたのはすっかり日が暮れた夕方6時頃だったのですが、ちょうどその時、玄関のガラス越しに見える帳場では、チェックインなさっているお客さんがいらっしゃったので、一旦駐車場の車に戻ってちょっと待ち、(お宿の方の)来客対応が済んだ頃を見計らって、入浴をお願いしました。既に暗かったので外観はよくわかりませんが、暖色系の照明に照らされた和風の館内は家庭的な雰囲気に包まれ、ぬくもりと優しさが伝わってきます。ロビーにかかっている「仙臺屋」は、こちらのお宿のかつての屋号。



帳場から右へ進み、スリッパを脱ぐ上がり框の先に伸びているのがお風呂場ゾーン。手前から「家族風呂」「花座の湯」「万座の湯」と称する3つの浴室が並んでおり、「花座の湯」と「万座の湯」は男女入れ替え制の大浴場。各浴室の出入口を連絡する廊下は、足元爽快な畳敷きで、マッサージチェアや腰掛けなども置かれており、ちょっとした休憩室を兼ねているようでした。


 
「家族風呂は貸切風呂」とのこと。利用の際は帳場へ申し出るそうですが、宿泊客がお使いになる時間帯かと思われましたので、日帰り入浴の私は利用を遠慮させていただきました。


 
この日は「万座の湯」が男湯、「花座の湯」が女湯となっていました。生物学的にオスである私は、当然ながら前者の暖簾を潜ります。


 
さすが旅館だけあって、脱衣室はとっても綺麗。清潔感が漲っており、大変気持ち良く利用できました。宿泊なさるお客さんは、さぞ満足なさることと思います。壁に沿ってL字形に棚や籠が並び、洗面台は3台、そして中央に畳表が張られた腰掛けが置かれています。扇風機やドライヤーも備え付けられていました。
 

 
お風呂は内湯のみ。浴室のすぐ下に川が流れており、窓の外側には目隠しの塀が立ちはだかって視界を遮っているのですが、塀の下には川面が覗いていて、夜間でもせせらぎの輝きを見ることができました。お風呂は岩風呂で、床は石敷き、そして壁には木材が用いられおり、これらの天然素材と湯面から立ち上る湯の香によって、和の温泉風情たっぷり。落ち着いてゆっくりと湯浴みできました。



壁に沿ってL字形に配置されている洗い場。カランは混合水栓ではなく、単水栓とシャワー専用水栓のペアが6組ほど並んでいます。カランから出てくるお湯は源泉100%で、どういう仕組みになっているのか、ややぬるめでした。


 
岩風呂は8人近く同時に入れそうなサイズを有し、湯口の上では信楽焼のタヌキがひっくり返って天井を見上げていました。お酒を飲んだ後にお風呂に入って、逆上せちゃったのかな。そんな湯口からはお湯がふんだんに注がれており、洗い場側の縁から惜しげも無く溢れ出ていました。
こちらで使われているお湯は、共同浴場にも引かれている上の湯源泉の他、花海泉と称する自家源泉を所有しており、両者をブレンドして浴槽へ投入しているんだそうです。無色透明のお湯は透明度が大変高く、澄み切ったお湯を通して、槽内の岩が美しく映えていました。甘塩味と弱い石膏味&臭が感じられ、湯口に鼻を近づけると、配合肥料と磯の香を足して2で割ったような、形容の難しい独特の香りが香ってきました。信楽焼の下を流れ出た時点では、直に触るのが躊躇われるほど熱い(50℃以上)なのですが、投入する湯量の塩梅が絶妙であるため、湯船では「ちょっと熱いかな」という程度(43~44℃)に収まっており、実際に湯に浸かってみますと、意外にも熱さがすぐに気にならなくなるほど、マイルドな浴感がやさしく全身を包み、食塩泉的なツルスベ感が肌をしっとり滑らかにしてくれました。鮮度感も良く、身も心もシャキッとします。
不特定多数の人が次々に利用する共同浴場は、時間帯によってどうしても湯疲れ(鈍り)が生じてしまいますが、宿泊客と立ち寄り入浴利用者しか入らないこちらのお風呂は大変綺麗なコンディションが保たれており、お湯本来の清らかさと優しさ、そして力強さを思う存分堪能することができました。大湯温泉では廉価な入浴施設がいくつも営業していますが、施設は風情があって綺麗ですし、お湯も良好ですから、若干余計に料金を支払う価値が十分にあるかと思います。できれば今度は宿泊してゆっくり過ごしたいものです。


花海泉・上の湯の混合泉
ナトリウム-塩化物温泉 54.2℃ pH8.0 溶存物資1327.6mg/kg 成分総計1333.3mg/kg
Na+:367.3mg, Ca++:59.9mg,
Cl-:580.5mg, SO4--:104.1mg, HCO3-:56.4mg,
H2SiO2:84.6mg, HBO2:59.2mg,
加水加温循環消毒なし

秋田県鹿角市十和田大湯温泉上の湯34-1  地図
0186-37-3221
ホームページ

日帰り入浴→7:00~16:00/400円、16:00~21:00/500円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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