WIND AND SOUND

日々雑感 季節の風と音… by TAKAMI

ピアノの先生はバンドリーダー4

2005-02-20 | アーティスト魂
ヤマハの講師時代、毎年全国的に行われる講師のシンポジウムに向けて、各グループに別れて、いろんな研究を行っていました。
その中で、私がグループリーダーをやらされていたある年、始めたばかりの子供に模倣で歌わせている「ドレミ」とか「ソファミレド」などという短いフレーズの羅列では、感情をこめることができない…という話になりました。これを定義として、「初歩の段階から曲としてまとまったものを使った音感教育を…」というテーマで研究、実験をしようという話が盛り上がりました。言葉にしたって、「鉛筆」や「消しゴム」に感情を込めることはできないわよね…と、、、 いかがでしょうか、みなさん! 
「鉛筆」という単語に感情を込めることはできるでしょうか?

「小学校の国語の時間、大きなマス目のノートに 4Bとかで書かされたたよね。気合いを入れるとすぐ折れたよね。小指の外側が真っ黒になったっけ。」→「鉛筆。」
「ボールペンじゃ消えないからダメなのよ!あとでコピーとるんだから! ここにいつもちゃんと削って置いてあるのに、誰が持ち出したの!?」→「鉛筆。」
子供達にも簡単に理解できるはず。
「誰に作ってもらったの?」→「おかあさん。」
「誰かに叱られたの?」→「おかあさん。」

音楽の「モティーフ」や「フレーズ」はことば、文節のようなもの。「単語」の集まりが文章であるように、曲は「フレーズ」の連続です。ひとつの「単語」に思いをこめられなければいくら長いフレーズを歌っても弾いても、そこに感情や命を吹き込むことはできる筈がないと思います。文章の棒読み状態。
その時の私は、「そりゃ違う!」と思って咄嗟に挙手をし、上に書いたようなことを発言しました。
なるほどね… 講師の先生方に納得はしていただけましたが。

先日のブログにも書いた、最近のヤマハ幼児科のCMで生徒たちが歌っている「どれみふぁそーらふぁみっれっど~♪」は、このときの私たちのグループの研究の延長線上にあるのです。ひとまとまりの曲を暗唱させて、気持ちをこめて歌うことに気付かせる。確かに1曲の中には起伏があるので、全体を感じ取りやすいです。けれども、たった一つの音を奏でるのにも、そこに気持ちを込めることが音楽で伝えることの第一歩…こんな言葉で私達のグループの発表を締めくくったと思います。

音楽のフレーズは、駈けのぼったり、滑り降りたり、くるくる回ったり、飛び跳ねたり、寝そべったり、楽しくお喋りしたり、曇ったり、霧に包まれたり、晴れたり、…しながら先へ先へと流れていきます。演奏しながらその中に、自分がどっぷりハマりこんでしまう…
そしてこの、曲と自分とプレイヤーと聴衆の一体感がたまらんのですわ!
…とミュージシャンならみんな言うはず。

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Comments (2)
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