経済なんでも研究会

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市場を麻痺させた 日本銀行 (下)

2016-12-29 06:19:56 | 日記
◇ 株式の保有額は10兆9500億円に = 日銀の発表によると、ETF(上場投資信託)の保有額は12月20日時点で10兆9240億円だった。異次元緩和前の13年3月時点に比べると、9兆4000億円ほど増えている。日銀はこの3年10か月の間に、市場からの株式購入でこれだけの資金を放出したわけだ。16年のETF購入額も4兆3000億円を超える見込み。東京株式市場では、最大の買い手となった。

ことしの東京市場では、外国人投資家と国内の個人投資家が売り越した。その売りを十分にこなして、平均株価を上昇させたのが日銀の買いである。日銀はETFの買い入れで資金を放出すると同時に、株価の底上げも狙う。だから買い出動するのは、午後の時間帯が多い。そこで投資家は午後になると、日銀の買いを期待するようになる。ところが日銀は買う一方だから、株価の自然な価格形成機能は損なわれることが少なくない。

日銀はことし7月、ETFの年間買い入れ目標を3兆3000億円から6兆円に引き上げた。みずほ総研の試算によると、この調子が続くと今後15年のうちに、浮動株のうち44銘柄は株式の半分以上が日銀の所有に。また4銘柄については、すべての株式が日銀に買い取られるという。市場経済にとっては、全く異常な現象に直面するわけだ。

ETFのなかには、業績の悪化した企業も含まれてしまう。にもかかわらず日銀が買うので、株価は上昇する。こんな矛盾も表面化してきた。このように日銀の量的金融緩和は、市場に大きな“ゆがみ”を生じている。しかも、この緩和政策はいつ終わるとも知れない。また仮に終わるときがきたら、さらに大きな異常現象が起こるだろう。日銀が大量の国債やETFを市場に売り戻すとき、どんな混乱が生じるのか。いまから心配しても、仕方のないことだけれども。

      ≪28日の日経平均 = 下げ -1.34円≫

      ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ


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