◇ 国家事業に育てたシンガポール = シンガポールは水ビジネスの重要性と将来性に、いち早く気付いた国である。01年には公益事業庁を水の総合官庁とし、04年には水研究特区を立ち上げた。公益事業庁は水ビジネスを一体化して、戦略的に海外に売り込む。研究特区には海外からも研究員を集め、技術的な問題はもちろん、浄水施設のテロ対策まで研究を重ねている。
シンガポールは1965年に独立したが、東京23区ほどしかない島国のため雨水が貯まらない。このためマレーシアから水を買う始末だった。この窮状が、水問題を考えるきっかけになったと言える。最初は汚水の浄化や海水の淡水化を始めたが、ついに水ビジネスを国家事業として推進することになった。
わずか15年前には、必要な水のほとんどを輸入に頼っていた。それが現在は再生水で30%、海水の淡水化で10%を賄い、あとの60%を降水と輸入に依存している。政府は30年に、この比率を50%、20%、30%にする計画だ。輸出産業としても成功しつつあり、中東や中国など世界各国に進出しているという。
シンガポール政府が狙っているのは、水ビジネスに関して世界の中核となること。ドイツやオランダ政府も、最近は似たような構想を描いているらしい。日本には最も欠落している視点だろう。水で悩んだシンガポールが成功し、水が豊富な日本が後れてしまったことは皮肉な話である。
(続きは来週サタデー)
≪18日の日経平均 = 下げ -232.22円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
シンガポールは1965年に独立したが、東京23区ほどしかない島国のため雨水が貯まらない。このためマレーシアから水を買う始末だった。この窮状が、水問題を考えるきっかけになったと言える。最初は汚水の浄化や海水の淡水化を始めたが、ついに水ビジネスを国家事業として推進することになった。
わずか15年前には、必要な水のほとんどを輸入に頼っていた。それが現在は再生水で30%、海水の淡水化で10%を賄い、あとの60%を降水と輸入に依存している。政府は30年に、この比率を50%、20%、30%にする計画だ。輸出産業としても成功しつつあり、中東や中国など世界各国に進出しているという。
シンガポール政府が狙っているのは、水ビジネスに関して世界の中核となること。ドイツやオランダ政府も、最近は似たような構想を描いているらしい。日本には最も欠落している視点だろう。水で悩んだシンガポールが成功し、水が豊富な日本が後れてしまったことは皮肉な話である。
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