経済なんでも研究会

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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2018-01-07 08:14:43 | SF
第2章  ロ ボ ッ ト の 反 乱 

≪14≫ 女性ロボット = 250年前に起こったロボットによるクーデター未遂事件。この計画がマスコミによってすっぱ抜かれると、世の中は大混乱に陥った。政府は緊急に議会を召集したが、「責任者は誰だ」とか「和解の道を探れ」とか、議論は一向にまとまらない。そうしているうちに、ロボット側は食料や飲料水の生産拠点を占領してしまった。もしワーグネル博士らが敏速に動いて蓄電所を掌握しなかったら・・・。

世論は議会の無能さにあきれ、憲法を改正して議会制民主主義を停止。賢人会による政治体制の確立を強く求めた。その結果、国民投票が実施され、少数の賢人による政治体制に切り替わったのだという。同時にこの国民投票で、男性ロボットを製作しない方針も正式に決まった。つまり、それ以後のロボットはすべて女性になったわけだ。

メンデール教授に聞いてみた。
――いったい、この国にロボットは何体ぐらいいるのですか。
「建国当時は1000万体の男性ロボットを作ることが目標でした。国造りのために、人間並みの労働力や技術力を持ったロボットが必要でしたからね。それがクーデター未遂事件で男性ロボットが排除され、いまは女性ロボットが1000万体います。その約半分がモノの生産工場や流通などの現場で働き、残りの半分は各家庭に配属されています」

――働く女性ロボットと家庭の女性ロボットとは、性能が違うのですか。
「大きくは違いません。ただ働くロボットは勤勉な性格の女性から遺伝子をもらっていますし、家庭用ロボットは世話好きの女性から遺伝子をもらいます。そこにいるマーヤ君は後者の方だから、よく面倒をみてくれると思いますよ」

マーヤは知らんふりをして、忠実に通訳をしてくれる。
――では、もうロボットについて心配なことはなくなったのですね。
「いやあ、それがそうでもない。女性ロボットも人間並みに、あるいはそれ以上に自己学習をしてしまう。長い年月が経つと、人間以上の能力を身に着ける可能性が大きいのです。ゲームや計算などはそれでもいいのですが、科学や技術の面で人間以上の能力を持つとどうなるか。その心配があるので、女性ロボットについても寿命を100年に制限したわけです。

また特に家庭用ロボットは、女性的な感情を高めがちです。つまり家族的な心情が増幅し、たとえば人間の男性に対する恋情を生み出す方向に進化する傾向さえ観察されるのです。一方、人間の若い男性はロボットがよく面倒をみてくれるため、結婚したがらなくなった。いま大きな社会問題になりつつあるのです。ある意味では、女性ロボットの反乱の方が男性ロボットの判りやすい反乱より怖いのかもしれない」

                         (続きは来週日曜日)


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