経済なんでも研究会

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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2018-01-14 07:52:42 | SF
第2章  ロ ボ ッ ト の 反 乱 

≪15≫ 人間との結婚 = このところ、マーヤの様子がおかしい。なんだか緊張しており、ときどき考え込んでいるようだ。メンデール教授が別れしなにつぶやいた一言が、どうやら影響しているように思われる。メンデール教授は、こう言ったのだ。

「いま賢人会では、ロボットと人間の結婚について議論しているらしい。人間の同性婚はずっと昔に認められたのだから、いいんじゃないかという声が強いそうだ」

正直言って、ぼくはあまりピンとこなかったが、マーヤにとっては衝撃的な情報だったようだ。しかし、よく考えてみると、こんなに献身的で便利なヨメさんを持ったら、何も言うことがない。よその星のことだからどうでもいいが、この国の男性は人間の女性と結婚しなくなってしまうのではないか。

もっとも、女性ロボットと結婚した男性は夜の営みをどうするのだろう。女性ロボットは自己学習で、あそこまで改造してしまうのだろうか。そんなことを考えながらマーヤの横顔を見ていたら、急に下腹に力が入ってしまった。いけない、いけない。

実は、それどころではないのだ。メンデール教授は帰りがけに、ぼくの質問に答えて地球の話もしてくれた。
「地球の話は、もうちょっと待ってください。冷却化が止まって温度が上昇していることは確かです。でもUFOが送ってきたデータの一部に乱れがあって、いま解析をやり直しています。1週間後にまた来てくれませんか」

とても気になったが、ここは1週間後にまた来るしかない。
――でも、どうやって冷却化を止めることができたんでしょうか。あの凍り付いた地球の温度が上がるなんて、とても信じられないのですが。
「そのことも、こんど説明します。簡単に言えば、地球を覆って太陽光線を遮ってしまったメタンガスを化学的に分解するのです。もう3年も前から、その作業を行ってきました。ダーストン国のそうした技術を、どうか信頼してください」

メンデール教授はきっぱりとこう言って、ぼくたちを送り出したのだった。ぼくが地球を飛び出してすぐに、メタンガス分解の作業は始められたことになる。もし本当に地球の温度が上昇していたら、いまごろ人々はどうしているのだろう。再び昔のような地球に戻るなら、ぼくも早く帰りたい。でも宇宙船がないんだ。それにしても、この国の連中がなぜ地球の温度回復に乗り出したのか。大きな疑問であり、少し気味が悪い。

ぼくはこんなことを考えて、半ば喜び半ば悲しんでいる。一方、マーヤの方は「人間との結婚」問題について、思いを巡らせている。だから、このところマーヤとの会話はめっきり少なくなってしまった。

                          (続きは来週日曜日)


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