経済なんでも研究会

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出始めた 貿易戦争の実害 (下)

2018-08-10 07:02:30 | 貿易
◇ 限界の見えないことが不安を増幅 = トランプ大統領には、早い段階から“奥の手”をちらつかせる性癖があるようだ。今回も5月の時点で、破壊的な影響力を持つ自動車の輸入関税引き上げを検討すると公表している。もともとはEUに対する脅しだったが、いま始まったばかりの日本との貿易交渉でも、陰に陽に利用されることは間違いない。ただ、この措置は悪影響が大きいだけに、アメリカ国内でも反対の意見が圧倒的に強い。

アメリカ国内では17年に、1730万台の乗用車が販売された。そのうちの44%が輸入車である。日本の輸出も173万台、金額で398億ドル(4兆4000億円)にのぼった。日本のメーカーはカナダやメキシコで生産した車もアメリカへ輸出している。仮に20-25%の輸入関税をかけられたら、日本経済が被る損失は計り知れない。

GMやフォードなどアメリカのメーカーは、部品の多くを海外に依存している。このためアメ車の販売価格も1台平均で2000ドル上昇。消費者は年間450億ドル(5兆円)の負担増になると試算されている。商務省が開いた公聴会でも、自動車工業会をはじめ多くの参考人が反対意見を述べた。強く賛成したのはUAW(自動車労組)ぐらいのものである。

こうした状況から、トランプ大統領も自動車関税は外国との交渉に脅しとして使うだけだという見方も強まっている。しかし中間選挙を控えて民主党の牙城であるUAWを取り込むために、実際に発動する可能性もないではない。こうして貿易戦争の限界は、いまのところ見極められない。その被害についても、測定は不可能だ。その不透明さが、金融市場では不安感を増幅して行く。

       ≪10日の日経平均 = 下げ -300.31円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】

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