経済なんでも研究会

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100ドルを超える恐怖 : 原油価格 (上)

2023-10-26 07:19:40 | エネルギー
◇ ガザ戦争で高まる危険性 = 原油の国際価格は、いま高止まりしている。ニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物相場は、このところ1バレル=90ドルを前に足踏み状態。しかしイスラエルのガザ地上作戦が、本格的に始まったらどうなるか。ごく短期で決着すればともかく、もし長引いてレバノンやイランなどの近隣アラブ諸国が巻き込まれれば、価格は確実に100ドルを突破するに違いない。それが世界経済に及ぼす悪影響は、計り知れないほど大きくなりそうだ。

原油価格が100ドルを超えれば、各国の物価はさらに押し上げられる。アメリカやEUの中央銀行は、金融引き締めを継続せざるをえなくなる。その結果、景気は悪化するだろう。中国も燃料高で、景気の回復はさらに遅れる。日本も貿易赤字がいっそう拡大、企業収益も圧迫される。景気が下降する一方で物価は上昇、庶民の生活は苦しくなるばかり。政府が補助金を積み増せば、財政は破たんに近付く。

現在の原油価格は、実に複雑な要因が重なって形成されている。まず供給面では、OPEC(石油輸出国機構)とロシアなどによる生産調整。さらにサウジアラビアとロシアは7月から、自主減産を追加。これを継続することで、相場を下支えしてきた。たとえば9月上旬に、プーチン大統領がサウジのムハンムド皇太子と電話会談しただけでも、価格は上昇した。その可能性は小さいが、仮にイランがホルムズ海峡を封鎖したら、価格は130ドルにも暴騰するだろう。

需要面の要因も複雑だ。アメリカの原油在庫が行楽シーズンのガソリン消費増加で減少すると、価格は上昇。中国の景気回復が遅れて需要が伸びないと、価格は下落。冬の暖房シーズンが近づくと、価格は上がる。現在はアメリカで高価格のためにガソリンの消費が伸び悩み、それが原油価格を抑える要因となっている。こうした需給両面からの力に加えて投機資金が暗躍するから、先行きの予想はかなり難しい。

                       (続きは明日)

        ≪25日の日経平均 = 上げ +207.57円≫

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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