経済なんでも研究会

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中途半端な 金融の量的引き締め (上)

2024-04-04 07:15:23 | 金融
◇ 利上げでも株価が下がらない根本的な原因 = FRBも日銀も、いま金融を引き締めている。しかしニューヨーク市場でも東京市場でも、株価は下がらない。下がらないどころか、史上最高値の更新を続けている。経済学の教科書には「金融が引き締まると、株価は下落する」と書いてある。でも、どうして下落しないのか。答えは「まだカネ余りの状態が続いているから」だ。まずはニューヨーク市場の状態から、検証してみよう。

FRBは3月20日の政策決定会合で、政策金利の据え置きを決定。同時に「年内3回の利下げ」の可能性を否定しなかった。株式市場は「金利を据え置いたのは景気が堅調な証拠」ととらえて好感、また3回の利下げを歓迎。ダウ平均は3月下旬の間に3回も最高値を更新している。なぜ、こんなに強いのか。理由はいろいろ言われているが、基本的には市場の周辺に巨額の投資資金が滞留しているからに他ならない。

カネ余り状態が続いている最大の原因は、FRBによる量的引き締めがまだ不十分なことにある。FRBは20年3月から22年6月まで、国債と住宅ローン担保証券を無制限に買い入れ、大量の現金を市場に放出した。これが量的緩和政策である。22年6月からは月に最大950億ドル(約14兆円)ずつ市場に放出して、資金を吸収してきた。これが量的引き締め政策である。

引き締めを始めた22年6月時点で、FRBは8兆9000億ドルの資産を保有していた。これが最近時点では7兆5000億ドルに減少している。つまり1兆4000億ドルの資産を売却、それだけ資金を吸収したことになる。だが減少率はまだ15%に過ぎない。ところがFRBは利上げを止めたから、量的引き締めも減速せざるをえなくなった。このため量的引き締めは中途半端、まだ市場が資金不足で困るようなことはない。だから株価は、なかなか下がらない。

                  (続きは明日)

        ≪3日の日経平均 = 下げ -387.06円≫

        ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ≫


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