経済なんでも研究会

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インフレーション 襲来!(下)

2021-11-18 08:15:49 | 物価
◇ スタグフレーションになれば最悪 = 物価の騰貴は、各国の経済にさまざまな悪影響を及ぼす。たとえば、FRBが金融緩和政策の縮小を決めたばかりのアメリカ。FRBはインフレを阻止しようと、縮小のテンポを速めるかもしれない。そういう見方が強まったことから、すでに各種の金利が上昇し始めた。すると金利に惹かれて資金がアメリカに還流、為替市場では各国通貨に対してドルが高くなる。

資金が流出する新興国では、自国通貨が安くなる。このため輸入物価が上昇、インフレが加速する。これを防止するため、すでに中南米諸国を中心に30か国以上の国が金利を引き上げた。金利の上昇は、景気の回復を抑制する。こうして、いまや多くの新興国がインフレを阻止するために、経済発展を犠牲にせざるをえなくなった。

日本でも円の対ドル・レートが下落、輸入物価を押し上げている。運悪くエネルギー価格の高騰と重なったから、輸入物価の上昇は加速した。たとえば10月の輸入物価は、前年比で38.0%も上昇している。ガソリン・灯油・電気料金のほか、プラスチック製品・食用油・小麦粉など生活必需品の値上がりが相次いでいるのは、このためだ。

いったん上がった物価は、なかなか下がりにくい。金融を引き締めると需要は抑制できるが、供給面にも冷水を浴びせることになりかねない。景気を重視した対策は物価の上昇を促進し、物価を抑制する政策は景気を悪化させる。そして放っておくと、物価上昇と景気の後退が同時に発生しやすい。これがスタグフレーションと呼ばれる現象だ。いまから用心すべきである。

        ≪17日の日経平均 = 下げ -119.79円≫

        ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫


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