経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

小泉元総理が 原発ゼロ法案 (下)

2018-01-26 08:09:33 | 原発
◇ 資源エネルギー庁をぶっ潰せ! = 小泉元首相は講演のなかで「東日本大震災の直後は、原発が動かなかったが電力は不足しなかった。だから原発を即停止・即廃止しても大丈夫」と説明している。だが、これは乱暴に過ぎる話。あのときは非常時で、国民もエネルギーの節約に努力した。石炭火力もフル稼働せざるをえなかった。それに日本経済の規模も、当時よりは大きくなっている。

原発ゼロ法案の骨子を見ると、自然エネルギーの電力比率は「30年までに50%以上、50年までに100%」と書いてある。だが具体的にどんな方法で達成するかについては、ほとんど触れていない。これも無責任だ。政府の「30年=22-24%」計画でさえ達成できそうにないのに、どうすれば「30年=50%」を実現できるのだろうか。

折しも河野外相はアラブ首長国連合で演説、そのなかで「日本は再生エネルギーの導入で、世界から大きく遅れている。短期的な対応策に終始したためだ」と、自国の政策を厳しく批判した。こんなとき、小泉・堀川の両重鎮が「原発ゼロ」を旗印に政界再編成を狙うだけならば、それでいいかもしれない。

しかし本当に日本の将来を心配して立ち上がるのであれば、もっと問題の本質に踏み込んでもらいたい。その最たるものは、行政の仕組みを根本的に変えることだろう。エネルギー政策で失敗を重ねた資源エネルギー庁。これを大改革し、衆知を集めて「原発ゼロ」への道筋を作り直す。そうしなければ、現実派の原発ゼロ論者はついてこない。小泉さん、資源エネルギー庁をぶっ潰せ!

      ≪25日の日経平均 = 下げ ー271.29円≫

      ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ


小泉元総理が 原発ゼロ法案 (中)

2018-01-25 08:06:02 | 原発
◇ 壊滅したエネルギー政策 = 「原発は絶対ダメ。即停止・即廃止」というのが、小泉氏や細川氏の主張だ。これに対し「原発はない方がいい。しかしエネルギー不足になる心配があるので、即停止・即廃止というわけにはいかない」という現実論者も少なくない。特にこれらの人たちは、日本のエネルギー政策が崩壊してしまったことで、その心配を強くしている。

政府は太陽光発電を促進するため、電力会社による強制買い取り制度を12年度から導入した。ところが、そのとき買い取り価格を1キロワット時40円と異常に高く設定したのが、つまずきのもと。電力会社はその分を電力料金に上乗せしたため、企業向けや家庭用の料金が高騰してしまった。驚いた経産省はあわてて買い取り料金を20円まで引き下げたが、こんどは事業者の採算がとれず、太陽光発電はいま行き詰まりの状態に陥っている。

風力やバイオマス発電でも同じような過ちを繰り返し、現在は自然エネルギー発電の拡大がほぼ停止してしまった。原発の再稼働も進まないため石炭火力発電に頼らざるを得なくなり、こんどは温暖化ガスの削減も停滞する始末。最初は日本と同じ過ちを経験したドイツが態勢を立て直し、自然エネルギー発電の比率を3割以上に高めているのに比べれば、日本の政策的な大失敗は明らかだ。

政府は14年に作成したエネルギー基本計画で「30年度の再生可能エネルギー発電比率を22-24%に増やす」と決めたが、現状では達成の見込みがない。本来ならば17年中に新しい計画を作り直すはずだったが、それもできない。こんな調子だから、現実的な原発反対論者は、ますます原発の即停止・即廃止には賛同できなくなっている。

                           (続きは明日)

      ≪24日の日経平均 = 下げ -183.37円≫

      ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ

小泉元総理が 原発ゼロ法案 (上)

2018-01-24 08:19:34 | 原発
◇ 政界再編成の起爆剤に? = 小泉純一郎元首相が細川護煕元首相と連名で、原発ゼロ法案を国会に提出する。その内容は稼働中の原発を含めて、すべての原発を即時廃止するという厳しいもの。東日本大震災の3月11日に、国会に提出する方針。立憲民主党もこの国会に同様の法案を出す予定だが、最終的には一本化される公算が大きい。

公表された法案の骨子をみると、名称は「原発ゼロ・自然エネルギー基本法」となっている。すべての原発を直ちに廃止するほか、新増設も認めない。その代りに「太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス等の自然エネルギーを最大限かつ可及的速やかに導入。自然エネルギーの電力比率目標は、30年までに50%以上、50年までに100%とする」と明記した。

小泉氏はもともと原発反対論者。かつて放射性廃棄物の捨て場も定まらない原発を「トイレのないマンション」と表現、厳しく批判したこともある。ただ、なぜこの時期に再び「原発ゼロ」の旗印を掲げるのか。記者会見では「安倍内閣では原発をゼロにできないから」と説明したが、裏を返せば“内閣打倒宣言”と読めないこともない。

すでに同様の法案を準備中の立憲民主党とは、協議を開始している。希望の党や共産党も、原発には反対の姿勢だ。さらに自民党のなかにも、原発ゼロ論者は少なくないという。こうした議員たちが「原発ゼロ」の旗のもとに結集したら。政界再編成の起爆剤になるのではないか。こんな観測も、永田町周辺では広がり始めた。

                              (続きは明日)

      ≪23日の日経平均 = 上げ +307.82円≫

      ≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ


トランプ経済政策 評価は AA

2018-01-23 08:28:39 | アメリカ
◇ 盛り返したアメリカ経済 = ドナルド・トランプ不動産王が、大統領に就任して1年。世論調査の支持率は40%を切っているが、経済政策だけに絞って採点すればダブルA.。及第点を付けてもいいだろう。今週末には昨年10-12月期のGDP速報が発表されるが、おそらく成長率は3%台に。そうなると3四半期にわたって3%成長が続くことになるが、これは13年ぶり。企業の収益は過去最高の水準を維持し、ダウ平均株価はこの1年で31%上昇した。雇用者は260万人増えている。

活力を取り戻す原動力となったのは、歴史的な大幅減税。今後10年間で法人税は1兆5000億ドル、個人所得税は1兆ドル減税される。この大胆な政策が、利益を増やし株価を上げ、雇用者を増加させたことは確かだ。ただオバマ・ケアの代替策では失敗し、新年度予算の成立も遅れている。こうした点を考慮に入れると、AAAは付けられない。

さらに経済以外の政策では、マイナスが多い。TPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱、温暖化防止のためのパリ条約からの撤退、エルサレム問題、陣営内部のゴタゴタ、マスコミとの軋轢、議会対策の行き詰まり――数え上げればキリがない。これらはすべて落第点のD評価だ。したがって経済政策を合算した総合点も、せいぜいCにしかならない。

経済政策にしても、今後ずっとAA評価のままとは限らない。景気の回復が進んで、物価や金利の高騰が始まる可能性は小さくない。そのとき果断な対策が取れなければ、評価は下がってしまうだろう。また長い目で見て、在任中にアメリカ国民の経済的な格差が広がってしまうようだと、大統領としての評価は落ちる。トランプ大統領にとっては、まだまだいばらの道が続く。

      ≪22日の日経平均 = 上げ +8.27円≫

      ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ


今週のポイント

2018-01-22 07:45:21 | 株価
◇ 揺れ始めた株式市場 = 株価の上昇は、いぜんとして止まらない。だが市場の空気は、明らかに揺れ動き始めた。上昇の行く手を阻む波乱要因の卵が、いくつか現われてきたからである。ダウ平均は先週269ドルの値上がり。ついに2万6000ドル台載せに成功した。金利の上昇で金融株が買われ、原油の値上がりでエネルギー関連株も上昇した。2万5000ドルに載せてから2週間しかたっていない。さすがに急ピッチすぎる上昇に、警戒感も強まっている。

株価や原油の急騰で、アメリカ国内ではインフレが心配され始めた。FRBは物価上昇の加速が確認されたとき、長期金利がこれ以上に上昇したとき、緩やかな金融引き締めの姿勢を続けるのだろうか。その心配が、市場のなかで膨らんできている。ただニューヨーク市場の場合は、トランプ減税のおかげで企業の利益はさらに拡大するという期待が大きく、株価を下支えする効果は持続するだろう。

日経平均は先週154円の値上がり。18日には一時2万4000円台に載せたが、あと反落してしまった。こちらも金利と物価の動向に神経質になっている。企業収益への期待はニューヨークと同じだが、トランプ減税のような“夢”はない。したがって2万4000円台を踏み固めるのには、ある程度の時間が必要なのではないか。

今週は23日に、11月の全産業活動指数。24日に、1月の貿易統計。26日に、12月の消費者物価と企業向けサービス価格。アメリカでは24日に、12月の中古住宅販売。25日に、12月の新築住宅販売と1月のカンファレンス・ボード景気先行指数。26日に、10-12月期のGDP速報が発表される。なお22日は通常国会の召集日。

      ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ


Zenback

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