経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

いつの間にか 「第2波は来る」に (上)

2020-05-19 08:26:51 | なし
◇ トンネルを抜けたらまたトンネル = 安倍首相は先週14日、愛知・福岡など39県に対する緊急事態宣言の解除を発表した。これにより外出規制や店舗の休業などをどこまで緩めるかは各県知事の判断に任されることになるが、いずれにしても日本経済の正常化に向けて一歩を踏み出したことは間違いない。政府は残りの東京・大阪・北海道・神奈川・埼玉・千葉・京都・兵庫の8都道府県についても、今週21日に判断を下す方針。

緊急事態宣言は4月7日、東京・大阪など7都府県を対象に発令された。これにより各自治体の知事が、法的な根拠に基づいて外出自粛や店舗の休業を強く要請できるようになった。ところが新型コロナ・ウイルスの蔓延が収まらなかったため、ゴールデン・ウィークを前にした4月16日、対象を全国に拡大している。

外出規制や店舗の休業が長引けば、経済は委縮する。失業や倒産が増えて、国民の不満も増大する。幸いコロナ感染の勢いもピークを過ぎたとみられたため、政府も経済再開に一歩を踏み出した。コロナ対策と経済復活との微妙なバランス。いま世界中の国が、このサジ加減に苦慮している。こうしたなかで、今回の緊急事態解除は、専門家の間でも庶民の間でも「まあ妥当だ」という評価を受けた。

しかし、何となく引っかかる点が1つある。それは政府が「コロナの第2波」を“予期”しているように思われることだ。4月7日に緊急事態宣言を発令したとき、安倍首相はいっさい「第2波」には触れていない。ただ「暗いトンネルから抜け出すために」と説明しただけだ。ところが解除を発表した5月14日の会見では「2度目の宣言もありうる」と、第2波の可能性を示唆している。多くの国民にとって「トンネルを抜けると、またトンネルがあるかもしれない」というのは想定外だったのではないか。

                           (続きは明日)

       ≪18日の日経平均 = 上げ +96.26円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2020-05-18 07:27:32 | 株価
◇ 経済再開と経済崩壊の間で = 株式市場は、経済再開に対する期待と実体経済の崩壊に対する不安の間で揺れ動いている。先週のニューヨーク市場では不安の方がやや勝り、ダウ平均株価は週間646ドルの値下がりとなった。投資家が、株価水準と実体経済の乖離を意識した結果だと言ってもいい。その半面、経済再開の動きに乗り遅れまいとする投資家の心理はいぜんとして強い。

FRBのパウエル議長は先週13日の講演で、コロナ不況に対しては「政策手段を最大限に活用する」と強調。と同時に「経済には長期的なダメージが残る可能性がある」と警告した。4月の失業率が14.7%と戦後最悪の水準に上昇したことを念頭に置いた発言だったが、市場はこの後段の部分に注目して大幅に下げている。微妙な市場心理を映し出した場面だった。

日経平均は先週142円の値下がり。こちらも同様に揺れ動いた。円高が進行したときには、経済再開への期待で株高。実際に規制が緩和された時点では、企業収益の悪化が重視されて下げている。今週は18日に1-3月期のGDP速報が発表されるが、市場は織り込み済みと無視するのかどうか。

今週は18日に、1-3月期のGDP速報値。20日に、4月の訪日外国人客数、3月の機械受注。21日に、4月の貿易統計。22日に、4月の消費者物価。アメリカでは18日に、5月のNAHB住宅市場指数。19日に、4月の住宅着工戸数。21日に、4月の中古住宅販売、カンファレンス・ボード景気先行指数が発表される。なお21日は、東京など8都道府県の緊急事態宣言解除の可否判断。また22日には、中国が全国人民代表大会を開幕する。

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (10)

2020-05-16 08:11:31 | なし
◇ 規制緩和の結果は2-4週後に = 日本時間15日午前0時の集計。アメリカの死亡者数は8万4144人、ついに8万人を超えた。この調子だと、間もなく10万人に達するだろう。続いてイギリス、イタリアが3万人台。スペインとフランスが2万人台。そしてブラジルが1万人を超えてきた。中国は4633人、韓国は260人、日本は726人となっている。

前週からの増加数をみると、アメリカは1万0709人の増加。ただアメリカを含めて各国の増加数は、前週よりも縮小した。そのなかでブラジルだけは増加数が拡大、前週比で4688人の増加となっている。このほかロシアや南アフリカ、インドなどでは感染者が急増する兆しをみせており、コロナ・ウイルスとの主戦場は先進国から新興国に移る公算が大きい。

人口100万人当たりの死亡者数では、ベルギーが774人でいぜんトップ。それだけ3-4月のコロナ被害が大きかったことを示している。あとはスペイン、イタリア、イギリスの順。人口の多いアメリカは257人で、全体の7位だった。中国は3.25人で前週と変わらず。韓国は5.07人、日本は5.72人で、初めて韓国を上回った。

こうした状況のなかで、多くの国が規制の解除に動き出した。各国の罹災状況と解除の方法はまちまちだから、一概にその結果を予測することは出来ない。だが成功する国と失敗する国に、大きく2分されるのではないか。その結果は、おそらく2-4週後の死亡者数に表われることになるだろう。

       ≪15日の日経平均 = 上げ +122.69円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   

TV局の困惑 “密”の収録が出来ない!

2020-05-15 06:48:56 | テレビ
◇ 再放送・再編集でどこまでもつか = “3密”からの回避で、テレビ局が弱り果てている。ニュース番組などもキャスターが異常に離れて座り、出演者はリモート中継で窓ワクのなかから喋る。もっともニュース番組は見た目よりも内容が大事だから、これでいいかもしれない。しかし大勢の観客を入れる番組は、収録ができない。音楽やバラエティー番組など、多くが制作中止に追い込まれた。

たとえばNHKの「のど自慢」も収録ストップ。テレビ東京の「鑑定団」もダウン。過去に放送した番組を再編集して、なんとか急場をしのいでいる。旅番組なども、海外へは行けない。国内でも大勢のスタッフが移動することは、かなり難しくなった。なかには観客なしの歌番組も現われたが、どうも盛り上がりには欠けるようだ。

スポーツ番組は、サッカーにしても野球にしても、試合そのものが無くなってしまった。仕方なく過去の名勝負・名場面を映しているが、緊迫感は生まれない。アニメ番組なら関係ないと思っていたら、制作現場が3密のために「サザエさん」の新作が出来なくなったと聞いて驚いた。

ただ再放送・再編集番組が多くなると、制作費はそうとうに安くなる。また外出規制でステイ・ホームなら、テレビの視聴率は上がるはずだ。テレビ局の経営にとっては、大きなプラス材料である。だが再放送も、やがてはネタが尽きてくる。こういう状態にあってもチエを出して新機軸を切り拓いたテレビ局が、コロナ後にはのし上がることになるだろう。

       ≪14日の日経平均 = 下げ -352.27円≫

       ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

“大恐慌”と どこが違うのか (下)

2020-05-14 08:33:50 | 景気
◇ コロナ対策を誤ると大恐慌並みに = 世界大恐慌は、株価の大暴落がその発火点となった。今回は言うまでもなく、コロナ・ウイルスの蔓延を防ぐための厳しい外出規制で、経済活動が抑圧されたことが原因。この異常事態に対する警戒感から、株価は下落した。したがって異常事態から脱出できる気配が現われると、株価は反発する。

当時と現在の違いでいちばん大きいのは、各国の政府・中央銀行が不況を克服するための財政・金融政策を手中にしたことだろう。大恐慌の場合は景気対策の手段が確立されておらず、株価の大暴落に際してFRBは金利を引き上げたほどである。現在は政府が財政支出を拡大、中央銀行は無制限の金融緩和に踏み切ったところが多い。

もちろん、各国の経済規模やその水準も当時とは比べ物にならないほど強固になっている。また企業の規模や体質も、強靭になった。個人の資産や生活水準も同じである。要するに不況に対する抵抗力は、格段に強まっているわけだ。それでも90年前の大不況は軍部の台頭を招き、戦争につながった。その教訓は、決して忘れるべきではない。

いま唯一の懸念は、新型コロナ・ウイルスの終息が予想以上に手間取ることである。たとえば経済活動の再開につれて、第2波・第3波の感染が広がる。また先進国の状態が正常化しても、新興国での蔓延が収まらない。こういう状況に陥ると、今回の不況も1930年代の大恐慌に近づいてしまうかもしれない。油断は禁物である。

       ≪13日の日経平均 = 下げ -99.43円≫

       ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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